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 読者からの要望をもとに取材を行い記事化を目指す本コーナー。第1回(コロナ禍でバナナはなぜ値上がりした?)のコメント欄にて複数のご要望をいただいたが、目下取材中のため、今回もこちらでテーマを設定させていただいた。

 今回のテーマはアフリカや中東、インドなどで大量発生しているというバッタ。中国への到来が危惧されているという報道もあるが、日本へ襲来する可能性はあるのか。また、食料の輸入比率が高い日本の食卓への影響はあるのか。

アフリカやインドで大量発生のバッタ、日本への影響は?

 アフリカやインドなどで大量発生している「サバクトビバッタ」。国連食糧農業機関(FAO)は西アフリカのモーリタニアからインドの約30カ国で被害が生まれ、2020年に東アフリカで2500万人が、イエメンでは1700万人が飢餓に陥ると警告している。実際にパキスタンでは小麦や綿花などが食い荒らされ、約5500億円の被害が推計されている。

大量発生しているサバクトビバッタ(写真:ロイター/アフロ)

 1平方キロメートルの群れに最大8000万匹の成虫がおり、1日に3万5000人分の食料を食べる「世界でもっとも破壊的な害虫」(FAO)というサバクトビバッタ。どういう生物なのか。日本にやってくる可能性はあるのか。西アフリカのモーリタニアなどでサバクトビバッタの研究を行う国際農林水産業研究センター研究員の前野浩太郎氏にまず話を聞いた。

サバクトビバッタにはどのような特徴がありますか。

前野浩太郎氏(以下、前野氏):日本にいるトノサマバッタなどと違い、通常は半乾燥地帯にすんでいます。これはトノサマバッタなどもそうなのですが、普段はおとなしい「孤独相」という状態にあります。それが、大量に発生して他の個体とぶつかり合うなどして刺激を受けると、活発に行動する「群生相」という状態に変化し、大群となって各地に農業被害をもたらすのです。

今回の大量発生はどうして起きたのでしょう。

前野氏:きっかけは2018年にさかのぼります。普段は乾燥しているエリアにサイクロンが大雨をもたらし、サバクトビバッタが食べる植物が成長しました。人里離れた地域で、人知れずバッタは数を増やしていったのです。その後に飛んで行った地域でもバッタが発育、繁殖する条件が大雨によってもたらされ、数を増やし、分布域が広がっていったのです。

そもそも、サバクトビバッタは何を食べて成長するのですか。

前野氏:昆虫には特定の植物しか食べない種もいますが、サバクトビバッタはいろいろな植物を食べられる能力を持っています。ぜいたくを言わずに多くの種類の植物を食べるたくましさも、今回の大量発生につながっていると思われます。