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 日本と米国のクラウドファンディングで総額6600万円以上を集め、世界39カ国で販売しているホワイトボードがある。元音響機器メーカーのエンジニア、福島英彦氏が2015年に開発した、持ち運べるホワイトボード「バタフライボード」シリーズ。書いたり消したり、マグネットで何枚かをくっつけたり。シリーズで数種類の商品を展開するが、1枚の厚さは0.5mm~3mm程度で、バッグの中に入れてもかさばらない。防水加工が施されているので、室内、屋外問わず使うこともできる。

 「1人でアイデアを練りたい」「大人数で議論したい」といった用途に合わせて自在に形を変えられる。自社ECに加え、今では東急ハンズやヨドバシカメラなど大手小売りでも販売されている。

A5、A4、A3、手帳サイズと、4つのサイズを展開する。手帳サイズのバタフライボード(写真)は65gで、ポケットに入れて持ち運べる大きさだ。書き込みをスキャンしてスマートフォンに保存することもできる

 文字や図柄を書きながら、議論をしながら、アイデアを生み出す。古くは大判の付せんだったり、近年は大型のタブレット端末だったりと、そのための様々な道具が生まれてきた。だが、何がベストなのかという解はない。福島氏が着目したのが、自由にペンを走らせることができるホワイトボード。「どこにでも持ち運べるホワイトボードが欲しい」と思い立ったのはサラリーマン時代の2013年だった。

 最初から起業を考えていたわけではない。音響機器メーカーで約20年間、スピーカーの開発や設計、マーケティングに携わった後、海外家電の輸入代理店に転職していた。もともとコミュニケーションが得意でないうえに転職組。部下との距離を縮めるのに役立ったのが、会議室のホワイトボードだったという。「口では伝えにくいことでもホワイトボードに書くことで頭が整理され、説明しやすくなった」。持ち運べるホワイトボードをつくろうと思い立ち、会社勤めをしながら、平日の夜や週末の時間を使って開発を始めた。