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新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う外出自粛要請や、その後も続く在宅勤務で、鉄道自殺は減ったのか。緊急事態宣言下の4月や5月の自殺者数が少なかった背景に、外出自粛要請によって在宅勤務が広がった影響はあったのか。統計を調べた。

 警察庁と厚生労働省は8月11日、7月の自殺者数(速報値)は1786人で、前年同月比0.4%減だったと公表した。

 これまでの記事で言及してきた通り、前年同月比18.0%減だった4月以降、今年は前年を下回る傾向が続いてきたが、7月は前年並みに戻ってしまった。一般的に自殺者数が多いとされる3月や5月よりも多く、今年で最も多い人数になった。

 国土交通省の鉄道輸送統計によれば、今年4月の輸送旅客者数は前年同月比45%減と、利用者自体は大きく減少していた。4~5月の緊急事態宣言に伴う外出自粛要請や、その後も続く在宅勤務(リモートワーク)の広がりによって電車の利用機会が減ったことで、鉄道自殺の件数は減ったのか――。

 こんな疑問を持ち、厚生労働省が公表している統計から、場所別自殺者数のうち「駅構内」「鉄道線路」として計上されているものを合計した。

 2020年4月の駅構内と鉄道線路での自殺者数は38人で、19年4月の49人からは減少。ただ、18年4月の27人からは増加していた。また、20年5月の自殺者数は33人で、19年5月の49人から減少していた一方、18年5月の29人からは増えていた。

 年や月によって自殺者数は変動しており、また鉄道関係での月別の自殺者数は比較的少ないことから、自殺者数に占める割合を計算した。過去3年分の平均値と今年のデータを比較したものが、以下のグラフだ。