前回の専門家へのインタビューでも見たように、アルコールなどへの依存症には誰もが陥る可能性があり、しかも抜け出すのは簡単ではない。

では負の連鎖をストップするために、日ごろから何に気を付ければいいのか。在宅勤務などによって「判断が自分に委ねられている」環境を変えるのは難しいだけに、生活習慣の中での小さな積み重ねが重要になってくる。
専門家が勧めるステップは次の4つだ。
(1)ルールの設定
最初にすべきことは、自らルールをつくることだ。お酒の場合、摂取量であらかじめ飲み方を決めることが基本になる。
薬物治療の専門家である国立精神・神経医療研究センター病院の松本俊彦・薬物依存症センター長は、「アルコール量を日本酒に換算する癖を付けるといい」と助言する。瓶ビール中瓶1本=日本酒1合といった具合だ。とはいえ、お酒に親しんできた人にとって1合だけというのは少しさみしさを感じる量かもしれない。
そんなときでも「3合超えになるとまずい」(松本氏)ということを念頭に置いておこう。飲む時間が長くなれば量も増える。例えば、飲み始めを午後7時以降に設定して、10時になるとやめるなどのルール付けも必要だろう。子どものスマホでも「夜8時以降は触れない」といったルールを家庭ごとに決めることも有効だ。
(2)「見える化」
どれだけ飲んだか、どれだけスマホに触れたかの記録を残し、自ら決めたルールと照らし合わせられるようにする。依存症治療で実績のある大船榎本クリニック(神奈川県鎌倉市)の斉藤章佳・精神保健福祉部長が勧めるのはカレンダーの利用だ。
「青、黄、赤などのシールを用意し、飲んだ量ごとに貼っていくといい」。こうして日々の状況を一目瞭然にすることで、お酒と向き合えるようにする。アルコールの場合、「できれば2日間、48時間は間を空けるのが依存症にならないうえでの安心材料」(松本氏)という。
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