
前回見たアルコール以外にも、コロナ禍で急速に広がったであろう「習慣」がある。子どものスマートフォン(スマホ)の利用だ。休校となったことで時間が有り余る一方、友達と集まって遊ぶことも遊園地で遊ぶこともできない。家籠もりはゲームや動画サイトの利用時間が増えやすい環境になる。
5月中旬、ネットゲーム依存の回復支援を手掛けるKENZAN(東京都武蔵野市)が開いたオンライン相談会では、「学校が始まった後に生活を立て直せるだろうか」、といった悩みが相次いだ。家に閉じこもった生活となりストレスがたまる中、スマホによるゲームや動画の視聴などが生活の中心になりがちだ。家族内でのコミュニケーションが少なくなり、昼夜逆転の生活が定着しているといったケースがみられるという。
スマホ依存防止学会の代表で、『親子で読むケータイ依存脱出法』などの著書がある医師の磯村毅氏は「スマホやゲームのタッチパネルの応答の速さが脳への強い刺激になる。脳が未発達な子どもでは特に問題だ」と指摘する。
画面に触ればすぐに好きな動画を見られたり、ゲームを進めたりできることがドーパミンの放出につながり、やがて依存症状を呈するというわけだ。
実際に「米国では『Wait until 8th』という運動があり、ビル・ゲイツ氏らも賛同している」(磯村氏)という。米国の高校入学の学年になるまではスマホを渡さないというもので、なるべく人間同士のリアルの世界に触れることで、実社会でもネット社会でも通じる社会性や創造性を育もうという考えだ。
米マイクロソフトを創業し、デジタルの世界で成功したゲイツ氏が子どものスマホ利用に必ずしも肯定的ではないということは、子どものデジタル機器の使用に一定の示唆を与えるものといえる。
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