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(写真:PIXTA)

 6月に入り、特に首都圏では在宅勤務が終わったり、子どもの休校が解けたりして、かつての日常を取り戻しつつある人も多いだろう。7都府県への緊急事態宣言発令から約2カ月。新型コロナウイルスの流行で、多くの人々が外出自粛を余儀なくされた。

 その生活を振り返ってみると、酒量の増加やスマートフォン、ゲームに接する時間が増えたといったことはなかっただろうか。仕事や収入が減る、もしくは無くなるかもしれないといった経済面での不安、人に会えない不安…。様々な不安や孤独な気持ちをお酒やスマホ、ゲームは少なからず和らげてくれただろう。

 しかし、そんな1杯のお酒、1時間のゲームの積み重ねが、「自分には関係ない」と思っていた「依存症」への入り口になりかねないと知っている人はどれだけいるだろうか。

 アルコールについては、「依存症予備軍」と呼べるような飲み方をしている人は国内で約1000万人いるとされ、決して少なくない。ゲーム、スマホは未発達の子どもの脳に影響を与える可能性も指摘されている。一度、依存症になってしまうと「回復はあっても治癒はない」。今回、取材した依存症問題に取り組む人々は口をそろえた。

 そして、回復の過程で欠かせないのが、家族や当事者同士など人とのつながりだという。断酒した人々が自らの体験、心情を話し、共有する断酒会はその一例だ。人から人に感染する新型コロナはそうした人と人のつながりを切り裂く。依存症の予防、回復に携わるNPO法人の関係者は「新型コロナで人に会えなくなった状況は依存症の治療にとって『医療崩壊』と同じだ」と唇をかむ。実際にこのコロナ禍で回復の途上にあった人が再度、大量の飲酒をする状況に陥ってしまった事例もあるという。

 どうして人はアルコールやゲームに手を出してしまうのか。孤独な状況でも快楽をもたらしてくれるモノから抜け出せない脳のメカニズム、依存症にならないための方法などを専門家に聞いた。コロナとの共生を目指す社会では、依存症との付き合い方もより難しいものになるかもしれない。新型コロナの陰で広がりかねない依存症の現状に迫る。

記事ラインアップ(内容や公開日は変更される可能性があります)

・コロナ禍で消えた監視の目 アルコール依存症急増の足音(6月5日公開予定)
・タッチパネルが「刺激」に スマホゲームと酒の共通点(6月8日公開予定)
・依存症は孤立の病 「いい人」ほど陥りやすい(6月9日公開予定)
・「見える化」「共有」……アルコール依存断ち切る4原則(6月10日公開予定)