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新型コロナウイルスの感染拡大による危機が、リーマン・ショック時とは異なるのは金融機関が健全な点にある。不動産市場の不確実性は増しているが、資金余剰は変わらず、投資マネーは出口を求めている。不動産投資のプロはどこに勝機を見いだすのか。米投資会社のフォートレス・インベストメント・グループで在日代表を務める山下明男氏は、「中低所得層向け住宅こそが堅調」と説く。同社が2017年に取得した全国10万6000戸の雇用促進住宅は、順次改修されて「ビレッジハウス」というブランド名の賃貸住宅として供給され、割安な家賃設定や初期費用が不要な点で支持を集めている。異色の投資法人の在日代表が狙う投資先について聞いた。

山下明男(やました・あきお)氏
2008年6月よりフォートレス・インベストメント・グループ・ジャパンにてマネージングディレクター。2013年3月に日本主席に就任し、現在に至る。 フォートレス入社前はモルガンスタンレー証券、証券化商品部にて事業再編、マネジメント・バイアウト、不動産取得、Pre-REITブリッジファイナンスをはじめとした不動産金融関連取引を主導。1984年から2005年までは日本政策投資銀行で国内のインフラ、不動産、病院、プロジェクトファイナンスなどを主導した。 1984年に一橋大学経済学部より学士号。ハーバード大学ケネディスクールより修士号。

ビレッジハウスをはじめ、高齢者や中低所得層向けのマーケットに投資をしています。どういった考えからですか。

山下明男代表:日本社会は人口が伸びず、経済成長も今年は新型コロナの影響でマイナス5%ともいわれています。来年はプラス成長に転じるとしても、成長率は非常に低い。新興国のように成長率が高く、不動産の世界でいえば賃料がどんどんアップしていくといった展開にはなり得ません。

 そんな日本のいいところというか、不動産投資の観点から評価できる点は、安定成長にあります。足元ではコロナの影響が出ているものの、低成長ではありますが、安定はしている。こうした前提に立った上で、高齢者マーケットとアフォーダブル・ハウス(中低所得者向け住宅)を重要視しています。

高齢化は不可避、景気変動の影響もない

高齢者向けマーケットに注目する理由からうかがえますか。

山下氏:高齢化というのは構造的な問題で、なおかつ昔とは違って、老夫婦だけ、あるいは配偶者が亡くなって独り暮らしという世帯が増えています。社会的テーマとして高齢者向け住宅、介護施設が必要なのに全然足りていない。

 投資というのは、需要と供給のバランスです。要するに需要が供給を大幅に超過している状況では、投資のうまみがある。高齢者向け住宅というのはまさにそうです。人口動態的に高齢化は不可避で、景気変動の影響も受けにくく、長期的に見ても安定している。そういったところに資金を振り向けるというのは自然の流れだと思います。