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 マンション市場が冷え込んでいる。不動産経済研究所(東京・新宿)の調査によると、2020年4月の「首都圏の新規マンション発売戸数」は、前年同月比51.7%減の686戸。1カ月あたりの発売戸数としては調査の始まった1973年以来、最低の供給量になった。

 中古マンションも苦戦している。東日本不動産流通機構(東京・千代田)がまとめた4月のデータによると、「首都圏の中古マンション成約物件数」は1629件で、前年同月比52.6%のマイナスと、こちらも単月の減少率としては1990年の機構発足以来、最大の減少幅となった。

 自粛期間が約2カ月に及び、新築・中古マンションともに5月も一段の流通減少が予測される。多くの不動産仲介業はコロナ禍で店舗を休業していたためだ。不動産経済研究所は首都圏新築マンションの5月の発売戸数を「500戸程度」と予測する。

 東日本不動産流通機構も、中古マンション市場の苦境はしばらく継続すると見込んでいる。しかし、現場では明るい兆しも見え始めたという。同社事務局の調査員は「物件仲介の事業者からは、住み替えなどコアな需要があるとの声が聞かれる」と話す。

中古マンションの再生事業を手掛けるグローバルベイスが設計・施工したワークスペース。コロナ禍の拡大によって「仕事ができる、少し広めのマンション」の需要が高まっている

 最近、特に目立つのはコロナを理由とした住み替え需要だという。中古マンションの再生事業を手掛けるグローバルベイス(東京・渋谷)の野田清隆・常務取締役 は、「4月や5月のオンラインセミナーでは、今より少し広い住居に引っ越したいといった“スケールアップ”を望む相談者が急に増えた」と明かす。