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東京都内の中古マンション市場に異変が生じている。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、中古マンション価格が下がりにくい千代田区の物件で、大幅な価格下落が生じているという。平時ならば富裕層や外国人が投資目的で買い支えるエリアで何が起きているのか。マンションの価格情報や売買事例を分析する東京カンテイ(東京・品川)市場調査部の井出武・上席主任研究員に背景を聞いた。

井出武(いで・たけし)氏
東京カンテイ市場調査部上席主任研究員
1964年、東京都生まれ。89年にマンションの業界団体に入社、以後は不動産市場の調査・分析、団体活動を手掛ける。2001年に東京カンテイに入社し、現在は不動産マーケットの調査・研究、講演などを行う。

コロナ禍は中古マンション市場にも大きな影響を与えていると聞きます。物件数の多い東京都で具体的な影響は現れているのでしょうか。

 コロナ禍の影響を受けて、都内の中古マンション市場では顕著な下落傾向が出始めました。平時ならほとんど価格が下がらない地域でも、5月に入ってから物件価格が安くなったのです。都内には中古マンションの価格が下落しにくい「千代田区」「港区」「渋谷区」の“ビッグ3”と呼ばれる地域があります。当社が集計した速報値(5月14日時点)によると、このビッグ3でも物件の値下がりが見られます。

 例えば、築10年の中古マンションの流通坪単価を平均値で見ると、港区では4月まで724万3000円でしたが、5月半ばには約5%下落して689万3000円に下がりました。千代田区は下落幅が一段と大きく、前月より約15%下落して547万9000円(4月は642万3000円)となりました。渋谷区も下落傾向にあります。