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 東京五輪・パラリンピックや2025年の大阪万博を追い風にした訪日外国人数の増加を当て込み、急速にホテルの数を増やした大阪。客室数は8万室ほどになり、供給過剰で利益の出せない状態になっていた。そこに新型コロナウイルスの感染拡大がとどめを刺す。インバウンドが「蒸発」し、平均稼働率が一桁となった大阪のホテルでは今、何が起こっているのだろうか。

東京五輪に加え、2025年万博による訪日外国人の増加を見込み、大阪ではホテルが急増していた(写真:PIXTA)

 「ここ2、3年で開業した大阪のホテルの多くが、高い土地取得価格、建築費を前提とした収支計画で利益を出していかなければならない。でもホテルが増えすぎて、値下げ競争が起こってしまっている。コロナが来る前から利益は出せない状態だったのです」。こう話すのはリーマンショック以降、大阪で不動産再生事業に携わる信田光晴氏だ。

 米不動産サービス大手、CBRE(日本本社:東京・千代田)のデータによれば、大阪府のホテルの客室数は18年に約6万室だったが、19~21年までの3年間で8万室に増えるという。それに対し、各ホテルが稼働率85%になると仮定して算出した必要客室数は約5万9000室。調査は19年6月に発表したものだ。新型コロナウイルスの影響がなくても、必要客室数が供給数を下回っている状態だった。

 厚生労働省の衛生行政報告に基づくホテルの客室数推移からも、供給過剰の様子が見て取れる。16年度から17年度の大阪のホテル客室数は15%増、17年度から18年度にかけては31%増となっている。東京五輪や大阪万博によるホテル需要増の期待感だけでホテル運営の知識を持たない事業会社まで次々に参入し「バジェットホテル」と呼ばれる宿泊に特化したビジネスタイプのホテルが急増した。1泊5000円を下回る価格を提示するホテルも少なくなく、サービスよりも価格面での競争が先行していった。