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新型コロナウイルスによってニッポンの産業に再編の波が押し寄せている。甘い経営を続けていた企業へのダメージは大きく、大手企業も破綻した。緊急事態宣言は解除されたが、「ニューノーマル」のもと経営への打撃は続く。アパレル、百貨店、自動車、航空――。主要産業でどんな再編が起き得るのか。不確実性が高まるなか、大胆に予測することでコロナ後の秩序を考える。

 緊急事態宣言の解除によって人出は戻りつつあるが、消費の現場は大きく変化している。外食産業では、店舗が自ら座席を減らして入店者数を抑えるなど、ブレーキがかかったままだ。居酒屋「甘太郎」や焼肉チェーン「牛角」を営むコロワイドの野尻公平社長に、外食市場の見通しや、現在大戸屋に子会社化を見据えた株主提案をしている理由などについて聞いた。

野尻 公平氏(のじり・こうへい)氏
1962年生まれ。93年コロワイド入社。97年取締役、2002年専務、12年に社長就任。コロワイドは12年に「牛角」のレインズインターナショナル、14年に「かっぱ寿司」のカッパ・クリエイト、16年にハンバーガーチェーン「フレッシュネスバーガー」のフレッシュネスを買収するなど、積極的なM&A(合併・買収)による拡大路線を歩んできた。

野尻さんは30年近く外食に携わってこられました。コロナ・ショックのインパクトはどれほどの大きさでしょうか。

 みなさん同じ気持ちだと思いますが、過去最大ですよ。リーマン・ショックや東日本大震災も辛かったですが、それらの比ではない。そもそも「営業ができない」という状態ですから。収束していつ需要が戻るのかも、今は読めません。

 今後はアフター5の生活が劇的に変わります。毎晩、酒を飲み歩いていた人も「意外とお酒を飲まなくても平気だな」と思い始めているでしょう。「お酒代がもったいなかったな」と感じているかもしれない。外食という概念にとらわれず、デリバリー、テークアウト、宅飲み、オンライン飲み会、そうした世の中の変化に企業も対応しなければ生き残れません。

外食市場は縮小するのでしょうか。

 例えば居酒屋の市場は1兆円あるといわれています。私はこの市場規模はずっと維持できるとこれまで思っていましたが、今後は宴会需要が激減するでしょうし、維持できるか分からなくなりました。今回のコロナ・ショックでお店の数は間違いなく減るでしょう。 東京、大阪のようなオーバーストアだった都市部では2割程度減るのではないでしょうか。属性としては高価格と低価格に2極化し、個性で差別化できる個人経営のお店と、合理化を徹底的に進めた大きなチェーンしか生き残れなくなる可能性も考えられます。客単価2000~3000円で100店舗前後といった中堅の居酒屋チェーンなどは、経営が厳しくなるとみています。

そうした企業はどのように生き残ればいいのでしょうか。

 業態を変えるか、売却するかの二択でしょうね。