
誰もが知るブランドを扱ってきたアパレル大手の三陽商会や、一等地に店舗を構える百貨店大手の三越伊勢丹ホールディングス(HD)。事業モデルに課題を抱えるなかで新型コロナウイルスの影響を受け、再編の対象になり得るとの見方が出ている。合従連衡の相手として考えられるのは同業だけとは限らない。
「このままでいいんですか? 戦略的パートナーを探すべきでは」。
2019年12月、業績が振るわない三陽商会の岩田功社長(当時)は、ある人物の訪問を受けた。細水政和氏。同社の株式を6%持つ大株主、米投資ファンド・RMBキャピタルのパートナーだ。岩田社長に、事実上の身売り勧告を突き付けた。

三陽商会はその後、コロナの猛威を受けて業績が一段と悪化した。20年2月期の連結最終赤字は27億円で、4期連続のマイナスだ。岩田社長は責任をとって辞任した。
細水氏は言う。「コロナがなければあと3年くらいはもったかもしれない。だが今は、手を打たないとあと1年もつかどうか。世間体や体面を気にしている場合ではない」
RMBキャピタルは5月26日に開かれた三陽商会の株主総会で、中山雅之社長の退任や、元クラシエホールディングス社長の小森哲郎氏の取締役選任などを求める株主提案を行った。退けられたが、株主として三陽商会の行方に目を光らせる。
RMBキャピタルが19年末に想定していた身売り先は、同業大手のワールドや、三陽商会と「ポール・スチュアート」ブランドでライセンス契約を結ぶ三井物産だ。
三陽商会は15年に英ブランド「バーバリー」のライセンス契約を失って以降、坂道を転がり落ちるように業績が悪化した。民事再生法の適用を申請したレナウンは人ごとではない。
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