新幹線は速度は出るけれど躍度は低い

小野:そう、そのとおりです。加速度のグラフの傾きが急になるほど、体にかかる力の変化が大きくなり、加速しているぞと感じるわけです。この、体にかかる力の変化が、躍度になります。

 別の例で、公共交通機関で考えてみましょう。路線バスと新幹線、どちらが速いかといえば、もちろん新幹線ですよね。でも、低速からの加速度の変化は、これは路線バスのほうが大きい。

(出所:マツダ 画像は編集部が追加したイメージでグラフの数値とは無関係です)
(出所:マツダ 画像は編集部が追加したイメージでグラフの数値とは無関係です)
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―― 路線バスは大きな躍度が出るから、新幹線よりも加速を感じやすいってことですか。

小野:です。運転が荒い、つまり躍度が大きすぎる加減速をする運転手さんだと、体を揺さぶられてしまったりしますよね。新幹線は乗客に無用な不安を与えないために、加速度の変化をゆるやか(グラフの傾きがゆるい)にしている。言い換えると「躍度を抑えた運転をしている」ということにもなりますね。

―― あっ、なるほど。やっと分かった。加速度をグラフ化したときの傾きを数字で言うと躍度になる。そういうことですね。

小野:そうそう。人間が感じる加速“感”は加速度という数字では説明しにくい。グラフで加速度の変化の様子を見せれば理解しやすいんですけれど、加速“感”を数字で表すには「躍度」が便利、というわけです。そうそう、今回のアップグレードの開発では、まず、この躍度の考えを取り入れた、理想の加速度のカーブを描くところからスタートしました。

―― それが最初に言われた「加速度のカーブ」ということですね。言葉の問題なのですが、「躍度」が大きくなることは、一般的にいわれる「加速がよくなる」ことと、同じなんでしょうか。

小野:そうですね……応答や加速度の上昇が加速の中の一部と考えると、「躍度」が大きくなることも「加速がよくなる」の一部と言えます。

 ただし、「加速がよくなる」に含まれる「加速度が大きくなる」ことは、実際に加速度が一定以上まで上昇したときのことを言いますので、別です。最大加速度が大きくなる、と表現しましょうか。「躍度」が大きくなるというのは、その前の、アクセルを踏んだときに「反応を感じる」「応答がよくなる」ということと、ターボ車の場合、過給圧が上昇している中での「加速度の上昇が早くなる」ですね。

―― 躍度は、感覚として「加速した」と伝わるかどうかであって、実際に加速度があるレベル以上に高まったかどうかは、必ずしも必須じゃないというか。

 いやはやものすごいお手数をおかけしました。で、躍度が指標として大事というところは理解しましたが、躍度が高いという印象は、具体的にはどうやって出すんですか。

(つづきます)

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