自分の人生は悪くない、と思えるか

―― 例えばですけど、もっと大きな仕事をやってみたいとか、家族を増やしたいとか、「前向きに変わっていけるポテンシャルがあるんだ、と、自分を信じる気持ちを支えたい」と、翻訳しちゃってもいいでしょうか。

石橋:そうですね。私、このクルマを所有していただいて1年後、2年後のお客様のご感想を現場にお願いして集めてもらっているんですが、今、ぽつぽつコメントが返ってきているんです。特に、日本とアメリカのお客様からのお話で多いのが、「このクルマで自分の生活スタイルが変わりました」「このクルマで自分のステージが1段上がったように感じています」というコメントなんです。

―― ステージが上がる、というのは、混ぜっ返すようですが、CX-30を買ったら収入が増えた、というわけではなくて(笑)。

石橋:はい(笑)。地位や金銭もあるかもしれませんが、やはり、あくまで精神的なものだと思います。

―― それは他者比較ではなくて、自分自身への満足感というか、「自分の人生は案外悪くないよな」と気付いた、いうことでしょうかね。

石橋:そうですね、そうかもしれません。さっきも出ましたが「このクルマを買って、何十年かぶりに自分で洗車を始めました」みたいな方もいらっしゃいました。自分のチョイスに納得できた、という満足感が、自己肯定の気持ちにつながって。

―― だから大事にしたくなる、洗ってもやりたくなると。なるほど。そう考えると、「自分のチョイスしたモノを磨き立てて写真に撮ってSNSに投稿する」って、いい意味での「自己満足」感全開ですね。私は自分では洗車しませんが、気持ちはよく分かります。で、欲をいえば、CX-30がそこまでユーザーに愛されていることは、もっと世の中に知られてもいいのかもしれません。もったいない。

石橋:はい、そこも自分の仕事の1つですね。

―― さっきちらっと言われましたけど、一時マツダさんって「見りゃ分かるだろう」路線に走っていた気が。

石橋:「これでどうです? これがマツダのベストです、はい、どうぞ」という。確かに説明不足だったかもしれません。ただ、じゃあ言葉を工夫すればいいかというと、それだけでは足りなくて。私の経験からすると、丁寧にお客様のご要望を聞いた上で、世界観を崩さない範囲で改良すべきところは改良していく、それもスピーディーに。「ちゃんと分かっているな」と思っていただくには、それが一番だと思いますね。

―― おお! だったら言いますが、内装、シンプルでとてもかっこいいんですけど、夜になるとカップホルダーの位置が真っ暗になるのがちょっと不便で。

石橋:知っています、はい。認識しております。

―― 認識していらっしゃる。

石橋:そこはしっかり、我々もSNSなどはしっかり見ておりますので。

―― 同じく内装ですが、きれいなパネルだけど傷が付きやすいと。

石橋:はい、コンソール周辺ですよね。そこもしっかり認識しております。

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