CX-30(欧州仕様、写真:マツダ)
CX-30(欧州仕様、写真:マツダ)

 昨年3月、本欄でマツダのCX-30の主査、佐賀尚人さんに延々とインタビューをさせていただきました(「自分の人生最後?のクルマ、その開発者にゴリゴリ聞く」)。「役得企画だ」と火だるまになるのを覚悟してこわごわ執筆したのですが、望外に読んでいただくことができ、ほっと胸をなで下ろしたものです。佐賀さんはその後商品戦略本部長として、マツダ全体の企画・開発を統括するポジションに就かれました。

 記事中では、CX-30への数少ない不満として、搭載するディーゼルエンジン(SKYACTIV-D 1.8)の低速域でのレスポンスの鈍さと、その原因、対策についてしつこく聞いています。ドライビングポジションの改善で、アクセルペダルの操作が思い通りにしやすくなったことで不満はひとまず解消し、納得はしていたものの、佐賀さんは「ドライバーに歩み寄らせる形ではなく、もっとこちら側から間口を広げないと」とおっしゃっていました。

 ※ドラポジの面では、インタビューに出てきた話題とよく似た形で、「自動ドライビングポジションガイド」がCX-60に搭載されます。公式動画はこちら→ https://www.youtube.com/watch?v=FXyfU9j3wSY。顔認証との組み合わせか、なるほど……。

 そして2021年9月。マツダは「MAZDA SPIRIT UPGRADE D1.1」の提供を開始。これは、エンジンの制御プログラムの更新によって、発進・加速時のレスポンスを大幅に改善する、というものです(マツダの解説ページはhttps://www.mazda.co.jp/carlife/spirit-upgrade/d11/)。

 私も提供開始直後にディーラーさんに行ってきました。せっかくなのでガソリンエンジンのCX-30やロードスターに試乗させてもらい、戻ってくるともう完了していました。料金は税込み5万1480円。やってみてどうかと言えば「こうかは ばつぐんだ」で、プログラムだけでここまでエンジンの性格が変わるのかと驚かされました。

 一方で、ここまで変わると「じゃあ、最初はなんだったんだ?」という疑問が湧いてきます。「開発当初とは、エンジンの特性に求める方向性が変わったということでしょうか」と、マツダの方に聞いてみると「いや、逆ですね。理想に近づけたということだと思いますよ」という答が返ってきました。

 自分自身、そしてネットでの反響を見る限り、ユーザーの多くが求める方向にアップデートされたのですから、文句を言う理由はないのですが、なぜ最初からこれで出さなかったのか、は、オーナーとしても、やじ馬としても興味をそそられます。クルマにアップデートが行われることが、今後の自動車産業にどんな影響と可能性を与えるのか、も、経済誌の記者としては気になります。

 しつこい編集Yのロングインタビュー、まさかの年またぎで開幕でございます。
 今回は佐賀さんの後任としてCX-30の主査を務める、石橋剛さん(商品本部主査)にお話を伺いました。


―― よろしくお願いいたします。まず、石橋さんがこれまでどんなお仕事をされていたのかをお聞きしてもよろしいですか。

マツダCX-30主査 石橋 剛さん(以下、石橋):実は、入社はCX-30の開発を担当した佐賀と同期入社なんです。

―― あ、そうなんですか。

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