石橋:もちろんハードの進化が根底にありますが、じゃあ、例えばエンジンならピストンがどうとか、コンロッドがどうとかではなくて、センサーなんです。センサーの進化によってハードの状態が見られるところが、今、どんどん増えているんですね。
あっ、そうか。
石橋:SKYACTIV-X(以下SKY-X)エンジンの話になりますけれども。筒内圧センサーというレーシングエンジンでないと付いてないようなセンサーまで付けさせていただいて、シリンダーの中の状態が詳しく分かるようになったんです。お客様に買っていただいたエンジンを、後からさらに性能アップできるようになったのは、これがあるからです。
初物買いをしてくれたお客さんたちへの恩返し
これは、最も難しい燃焼をやっているSKY-Xが、一番高性能なセンサーを積んでいる、ということでしょうか。
石橋:今のラインナップでいうと、そうですね、SKY-Xがマツダの中では最先端。ものすごくいろいろなことができます(22年6月時点。9月発売のCX-60に搭載される「SKYACTIV-D 3.3」エンジンが最先端となる)。
言い換えると、伸びしろが大きい。
石橋:そういうこともあって、最初のアップデート「MAZDA SPIRIT UPGRADE」(マツダのニュースリリース→https://newsroom.mazda.com/ja/publicity/release/2021/202102/210219a.html は、SKY-Xのエンジンについて行わせていただきました。
そしてディーゼルエンジンについても、MAZDA3とCX-30以降のディーゼルエンジンは、ソフトウエアでできることがすごく増えたんです。「今回の開発で、これこれのことが分かってきました。次はこうやりたいんです、ああやりたいんです」というのは、エンジニアが共通で持つ夢であり、志です。だったらそれを新しい法律が整い次第載っけましょうよ、と。
それは、通常のモデルチェンジやマイナーチェンジの時期を待たずに、ということですか。
石橋:ええ。特にSKY-Xは、火花点火制御圧縮着火(SPCCI)を採用した新世代ガソリンエンジンという、世界初の製品で、それを買ってくださったお客様から実に様々なフィードバックをいただいた。それを反映して、一刻も早く改善したい、そしてお客様にお返ししたいと、エンジニアたちが騒いだわけですよ。だったら、まずこれをベースにちょっと国交省の方に相談してみましょう、新技術へのフィードバックをいただいた御礼として、今回は無償でやらせていただきましょう、と。
うーん。「ディーゼルは有償なのに、SKY-Xは無償なんだよなあ」と思っていましたけれど、初物買いをしてくれたSKY-Xのオーナーさんたちへの恩返しというわけですか。なるほど。
石橋:そして、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンも、開発を重ねていろいろなことが分かるようになったので、さらに進化しています。詳しくは担当者に聞いていただきたいのですが、1.8Dも、「今ならもっとよくできる、ぜひアップデートをやらせてほしい」と、エンジニアが訴えてきたわけですよ。
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