実際、アップデートの作業待ちの間に久しぶりにガソリンのCX-30に乗ってみると、あまりに思い通りにトルクが出るので「最初は個性がなくてつまらない、と思ったけれど、これはこれでたいしたもんだ」と評価を改めました。めっちゃ乗りやすい。
石橋:そうなんですよ。個性は薄いかもしれませんが、とても実直ないいエンジンなんです。こちらからもうかがいたいのですが、Yさんが最終的にディーゼルを選ばれたのは、どういうところに魅力を感じていただいたからなんでしょうか。
それこそ「最後のクルマかも」ぐらいに思っちゃっているから、サムシングが欲しくなっちゃうんですよね。普通ではない、ありふれていない、今まで乗ったことがないものを手に入れたい。さらに正直に言えば「とはいえ、SKYACTIV-Xにはちょっと予算的に手が出せない」(笑)。CX-5の2.2リッターのディーゼルエンジン(2.2D)で「マツダのディーゼルはすごい」という印象があったし、あれのちょっと小さい版なら文句ないだろう、と。
石橋:なるほど。
試乗してみると、「さすがに2.2Dよりおとなしいけれど、ターボが効いてくればパワフルで、メリハリがあっていい!」と思ったわけです。完全に「買いたい」気持ちが先に立っていたんでしょう。発進・再加速の弱点に気がつかなかったんですね。
石橋:で、MAZDA SPIRIT UPGRADE D1.1を適用された後はいかがですか。
一番気になっていた「踏んでも出ない」が見事に解消しましたね。もちろん、レスポンスだけ抜き出せばガソリンのほうがまだ上手ですが、踏み込めばしっかり加速するようになりました。息子も「全然違う」と喜んでます。ちょっとワクワクする加速感が存分に味わえるようになって、ディーゼルエンジンを選んで良かった、と改めて思います。燃料代もちょっと安いし(笑)。
石橋:ほっとしました、よかったです。
マツダはアップデートをどう考えるのか
改めて技術の方にお話をお聞きできるそうなので、「同じエンジンでどうやったらこう変わるのか」については、そちらでうかがいます。石橋さんにはちょっと違う角度から、マツダが始めた「クルマのアップデート」の考え方について、聞かせてください。
石橋:といいますと?
まず、お話しした通り、個人的にアップデートに5万円払った価値は十二分にありました。「これに乗りたかったら2020年12月以降のCX-30を買ってください(MAZDA3は11月)」と言われたら泣いちゃいますね、そこについてはもう文句はないんですが。
石橋:はい。
ただ、アップデートには「出した後も改善できる」というポジティブな面と、「後から直せるから、ある程度のところで割り切って出せる」という、いささかネガティブな面の両方があるんじゃないかと思うんです。最初のアップデートを仕切った石橋さんは、どうお考えなのか。そこを聞かせていただければ。
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