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CX-30(欧州仕様、写真:マツダ)
CX-30(欧州仕様、写真:マツダ)

 さて、もうそのまま聞いちゃいましょう。石橋さんご自身の、「アップデート前の1.8D」を積んだCX-30の評価ってどんな感じだったんでしょうか。「その時点でのベスト」というのは私も疑っているわけじゃないんです。ただ、自分のクルマとして運転したときに、発進時や再加速をするときには不満がありました。例えば、前のクルマがコンビニに入るために減速して、落ちた車速を戻すためにアクセルを踏む、なんてケースですね、その都度「あれ、踏んだのに出ない」と。

マツダCX-30主査 石橋 剛さん(以下、石橋):はい。

 出てほしいところで出ないという、言ってみればこれって一番マツダ「らしくない」じゃないですか。ただし、小排気量ターボには発進時や回転が落ちたときにタイムラグがあるんだ、ということを理解して、それを意識して正しい姿勢で座って、ペダルを正しく踏めば、不満はかなり解消します。それは前の連載でご紹介した通りです。

 ただ、免許取り立ての息子が乗ったんですね。そうするとやっぱり「乗りにくい」と言うわけです。もっともだと思います。乗り方があるにしても、ぱっと乗ったのでは難しい。「人馬一体」を打ち出すメーカーがこのエンジン特性のクルマを出すというのはどうなのか。その辺いかがですか。

得手不得手の説明が足りなかった

石橋:この点はですね、お客様に実際に我々が提供するタイミングで、エンジンの特性をきちんと説明できていなかったんだろうな、というのが素直な思いです。

 ああ、なるほど。「こういうエンジンですよ」という言い方もあったのではないかということですね。

石橋:ディーゼルのいいところをご購入される前にきちっとお客様に説明して、「こういう使い方をしていただけると、このエンジンは本当に光り輝くんですよ」という説明をして。

 例えば、高速巡航は得意中の得意、長距離が主体ならとてもいい、と。

石橋:でも、低速域でのレスポンスはガソリンが上だから、近距離の市街地走行がメインならそちらのほうが、ということですね。おそらく我々からも、メディアの方々や販社の方々に十分に浸透させるまで説明することができていなかったですし、それが結果的に販売店の方々からお客様に説明する際に、その点に関しては不十分だったんじゃないかなと。

 ああ、そう言われてみると、購入時にディーラーさんから受けた印象としては「ディーゼルを買おうとしているのに、値段の安いガソリンを妙に薦めてくるな」という気はしましたね。年間走行距離は最初にお話ししてますから、この人は長距離じゃなくて街乗り中心だな、と察していて、そうしたのかもしれません。

石橋:かもしれませんね、「このお客様にはガソリンのほうがいいのではないか」と、販社の方も判断されてお薦めしていた可能性はあると思います。

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