女性警察官が退職して「週刊モーニング」で連載開始、現在500万部刊行の大ヒット! となったコミック『ハコヅメ』が、今日、第一部の最終回を迎えた。休筆を経て年内に、歴史物の新連載が始まる、とのこと。異世界転生レベルの転職を果たし、ドラマ化、アニメ化の追い風を受けて、コミックスの販売も絶好調のいま、なぜ? 羽田空港のカフェで、作者の泰三子さんにお話を伺いました。
(聞き手:編集Y)
―― すみません、わざわざこちらまで出てきていただいてありがとうございます。
泰 三子さん(以下、泰):いえいえ、こちらこそありがとうございます。
―― 『「ハコヅメ」仕事論 女性警察官が週刊連載マンガ家になって成功した理由』、出してみていかがですか。反響とかありました?
泰:人と会ってないので、すみません(笑)。
―― そうでした(笑)。あの、お母様には……。
泰:お母さんは読んでくれています。
―― そうですか。よかったです! 泰さんのお母さまのファンなので。面白がっていただけたでしょうか。
泰:はい。「なるほどね」って言っていたんですけど、あまり……すみません、母は自分がちょっと美人って褒められていたのばっかりこう、浮かれていて、本の中身に触れてくれていない(笑)。すみません、天真爛漫(らんまん)な人なんです。
―― いえいえ、いえいえ(笑)。実は先日、『仕事論』で読書会を開きますというお話を、関西のハコヅメファンの方がTwitterでされていたんですよ。生で感想を伺いたくて、ずうずうしく押しかけてきまして。
泰:え、読書会。

―― 開催時間が平日の午後1時からで、場所がですね、大阪の●●●●という……。
講談社編集タブチさん(以下、タブチ):そこ、僕の生まれ育った街です。虎柄のセーターを着たおばちゃんの街です。時が止まっています。ガラ悪かったでしょ?
―― えっ?! そうだったんですか。まあなんというか、道でたばこを吸う人を久しぶりに見ました(笑)。元気なおばちゃん、そういえばたくさんいました。そして集合場所が駅裏のスナック。
女性ファンに圧倒されました
泰:へえ、面白い。
―― 面白いですよね。そしてTwitter上でしか面識がないので、どんな方が集まるのかまるで分からない。場所が場所、店が店、時間が時間なので、もしかしたら会社を退職されたセンパイたちが来られるのかしら、と。
タブチ:なるほど。
―― ところが、いらっしゃったのは全員女性だったんですよ。スナックが会場だったのは、その中のお1人が店長さんをやっているところで、3歳ぐらいのお子さんを連れて参加してくださって。意外に太陽の光が入って明るい店内で、ミネラルウオーターとかウーロン茶に氷をざくざく入れながら飲んで、そして皆さんが、カヌレとか、シューマイとか調理パンとか春巻きとか、みんなそれぞれこだわりの一品を持ち寄って。ほら(スマホの写真見せる)。
泰:すごい。うまそう。
―― 何も打ち合わせていないのに「余ったら持ち帰って家族の食事になりそうなもの」というのを、全員がそれぞれ持ち寄ってきて、好き勝手に取って食べてという。このムダのなさ、気配りはすごい、俺にはできない、と恐れ入ったのと、『ハコヅメ』は女の人に愛されているんだ、というのをあらためて思い知りました。
泰:ありがたいですね。
タブチ:どんなお話が出ました?
―― やっぱり、『ハコヅメ』に登場する人たちに、いかに幸せになってほしいか、が多かったですね。特に源(源 誠二巡査部長)。「誰か、彼が楽になれる相手を早く」みたいな悲鳴が上がっていましたが。
泰:ああ、そうか。でも難しいかもしれないですね、源。
―― そもそも忙し過ぎますよね。
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