緊急事態宣言解除、心構えは?

編集Y:さて、いよいよ5月25日に東京を含め全面的に緊急事態宣言が解除されました。ほっとする半面、本当に大丈夫なのか? という不安も強く感じます。前半で、新型コロナウイルス(SARSコロナウイルス2)の基礎知識を教えていただきましたが、これを踏まえて、どのような心構えが必要なのかが知りたいです。

:日常生活の中で、感染をどう防ぐかですね。それには感染する経路を知らねばなりません。

編集Y:このウイルスの感染経路の中心は飛沫感染、接触感染とおっしゃいましたが、これはどうやって起こり、どうやれば防止できるのか。

:飛沫感染というのは、くしゃみやせきとか会話によって飛び散る、先ほど出てきた飛沫、エアードロップレットで人にうつる。接触感染は汚染された手を介していくというルートです。

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 ウイルス込みの飛沫というのは長くて4メートルまで拡散しているという報告もあるんですけど、たいていは2メートル以内に重力で落ちていきます。重いほうが早く落ち、小さくて軽いものはより長い時間浮遊します。

 なので、人との距離を2メートル開けるのが大事だといわれるんですね。ただし、ジョギング中など動きがあると拡散が広くなるよというシミュレーションもあります。実はこの分野の研究は、このSARSコロナウイルス2がはやるまではそんなに進展していなかったんです。それが今回、一気に研究も進んできている。

編集Y:ソーシャル・ディスタンシングがやはり重要。そして気になるのは、実際の環境下でどのくらいウイルスの感染力が持続するかですよね。

:飛沫にウイルスが含まれた状態で空気中を漂うと、3時間後であってもその中には生きているウイルスがしっかり含まれています。培養される。培養されるというのは、「生きて」いるウイルスがそのドロップレットに含まれているということが分かってきたんです。

編集Y:あちゃー。接触感染はどうでしょうか。

:ステンレスやプラスチック上では、48~72時間後ぐらいまでは検出される可能性がある。ただし、量は大きく減ります。3日間ぐらいでだいたいは感染力はなくなると思われます。段ボールの上ですと40時間ぐらいですね。銅の上では8時間ぐらいで完全に活性が失われる。というふうに、付着したものの性状によって、耐性はけっこう変わるんです。

編集Y:3日間となると、外に出たらうかつにモノに触れないじゃないですか?

:接触感染としては、共通に触れるところから手が汚染されますので、ドア、ボタン類、ATM、場合によっては現金だとか、スポーツジムの共有のマシンは気を付けたほうがいい。しかし、買い物してきたもの経由や食品経由での感染の報告というのは実はないんです。

編集Y:えっ、そうなんですか? なぜでしょうか。

:まだ推測ですけれど、詰まるところ、不特定多数の人が触れる、その人数が多いかどうかという問題ではと思います。

編集Y:材質というよりは、感染した人が触れるかどうか、という確率の問題ってことですね。

:「外で買ってきたものは全部消毒しろ、洗いまくれ」とか言う人もいますけれど、そこまで心配しなくてもいい。衣類についても、一度吸着したウイルスがまたはがれて感染するという報告はないに等しいんですね。なので、そういうところは安全であると言っていいと思います。とはいえ、これはもう大前提として、手はきちんと洗いましょう(笑)。

 やはり最も注意すべきは飛沫感染です。外での買い物の際の注意点は、『JAMA』という米国の内科学会の雑誌も出しているんですけど、とにかくそのためにはソーシャルディスタンシング、6フィート、2メートルは距離を取ること、としています。

 そして、接触感染を防ぐために、たくさんの人が触るところに注意して、触った手で顔に触れない。手をよく洗う。人が触る表面などは消毒をしっかりすることも重要ですね。

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編集Y:これって日本が今までやっていること、でもありますね。

:はい。飛沫感染と接触感染を防ぐには、これら以外には特に予防法はないよ、と、どのプロも言っています。別の言い方をするならば、それ以外の予防法を言っている人たちはたいていは分かってない、ということですね。

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 呼吸器感染症の予防法として重要なことはこのスライドがすべてなんです。このスライドはかなり気合を入れて作ったものですが、これ以外に書くことがなかった。

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