『体メンテ』より(©崎田ミナ)
『体メンテ』より(©崎田ミナ)
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崎田:確かに、執念みたいな……(笑)。実は、これでもめちゃめちゃ略しています。項目も削ってるし。できればもっと入れたかったんです……。

―― そうなんですか……。情報詰め込み系の雑誌の編集にいたことがあって、「こんなに要素を入れたら読みにくいよ」「いやそれでも」と、ずいぶんデザイナーさんにご迷惑をかけたりけんかしたりしましたが、この本のデザイナーさんも、泣きながら作業しただろうなあと思いました。

崎田:え? いやいや、全体の構成とデザインまで全部自分でやってます。

―― あっ、そうなんですか!

崎田:私、レイアウトデザイナーやフリーペーパーの編集をしていたり、ストーリーマンガを描いていた時期もあったりしたので、画面運びは一応頭に入ってるし、一通りはやれちゃうんです。なので自分でほとんど決めちゃいます。

―― それはうらやましい。

「尻ムーブ」はいい! なんで笑うの?

崎田:(作品によく登場する)旦那Kに言わせると、「ひとり編プロ」だって。そこまではいかないと思うんですけどね。ライティングはできないし、エクセルも使えないし……。

―― 私は絵が描けないんですが、ひとり編プロは一つの理想ですね。もちろん、才能ある方とのお仕事は、別の喜びがありますが。

崎田:そうですよね。例えば、私が全部仕上げると泥臭くなっちゃうんです。だから、書籍にするときはデザイナーさんにフォントや飾りの部分をお願いしたり、ページのバランスをとってもらったりして、とてもすっきりさせてもらっています。

―― 崎田さんはおそらくネガティブな意味で「泥臭く」とおっしゃっているかもしれないんですけど、私がこの本に引っかかって即買いしたのはまさにその泥臭さだと思うんです。

崎田:本当ですか、それはうれしい。

―― 確かにクセは強いからもしかしたら万人受けはしないかもしれませんが、引っかかったらやめられない。そして、勢い任せで斜め読みするだけでも十二分な情報量があって、落ち着いてネチネチ読むと「あ、こんなことも描いてあった」って気がつく。例えば、私、この「尻ムーヴ」をやってるんですけど。

(会議室で腰をくいくいと動かし、実演するYに全員爆笑……)

―― ねぇ、なんで笑うの? なんで笑うんですか? これ、すごくいいですよ!

編集Yが好んでやっている「尻ムーヴ」。『体メンテ』より(©崎田ミナ)
編集Yが好んでやっている「尻ムーヴ」。『体メンテ』より(©崎田ミナ)
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―― 全体にこのイメージみたいに「そうだよ、そこが知りたいんだよ」っていうところだけ読んで「最終的にここ(赤くほわっと塗られている部位)がポカポカすりゃいいんだね」っていう風に、最初は大づかみに、ディティールはぶっ飛ばして読めるんですね。それも、「そう読め」と教わるわけでもなく、自然にそうなる。

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