2020年11月後半の売上高が前年同期比200%に――。コロナによる外出自粛の逆風を物ともせず、驚異的な成長を続けているのが兵庫県にある「ネスタリゾート神戸」だ。その戦略を担うのが、USJをV字回復させた立役者の森岡毅氏率いる「刀」。なぜコロナ禍でも成長できるのか。森岡氏は、その源泉にあるのは「リーダーの胆力」と説く。

 コロナ禍で日本中が大ダメージを受ける中、爆速で売り上げを伸ばし続けている、ある施設がある。兵庫県三木市の「ネスタリゾート神戸」だ。

 新型コロナウイルスが蔓延し始めた2020年1~3月は、前年同月比で何とか100%前後を維持していたが、緊急事態宣言が出された4月に閉園を余儀なくされ売り上げが壊滅的に。だが、6月以降は徐々に持ち直し、9月には売上高前年同月比で133%とついに100%超えを果たす。その後も驚異的なペースで売り上げを積み重ねてきている。直近の11月後半には201%を記録した。

ネスタリゾート神戸 有料客数・売上実績
ネスタリゾート神戸 有料客数・売上実績
コロナ前の19年秋と比較して、驚異的な成長を見せている
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 テーマパークのような施設系には、コロナに加えて自粛の圧力という強烈な逆風が吹き荒れた中、ネスタリソート神戸はなぜこのような信じられない数字が出せたのか。その陰にあるもの、それは自粛期間中の20年春の時点で成長戦略を既に描いていた、経営者の「リーダーシップ」だったといえる。

 ネスタリゾート神戸は、もともとの名を「グリーンピア三木」といい、1980年代に年金福祉事業団が整備した大規模保養施設の一つだった。だが経営が行き詰まり、破綻の後に現在の保有者である延田エンタープライズが16年夏に新装オープン。その後さらなる成長のために頼みとしたのが、マーケターの森岡毅氏が率いるマーケティング精鋭集団「刀」だった。

 「顔」とすべき際立った特徴がなかったネスタリゾート神戸をどう立て直していくか。目を付けたのは「自然あふれる広大な敷地」。コンセプトを「大自然の冒険テーマパーク」と定め、オフロードをバギーで疾走する「ワイルド・バギー」などのアトラクションを次々に考案していく。19年には、18年比で客数は約2倍、売り上げが3倍近くに増加、という大成功を収めた(詳しくは、過去記事「客数2倍、売り上げ約3倍に! ネスタリゾート神戸・復活の秘策」をご覧ください)。

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