メルペイも新設業者の認定を取得

 後払い決済サービス「メルペイスマート払い」を19年4月から既に提供してきたメルペイ(東京・港)も、21年8月27日付で、改正割賦販売法が新たに設けた「認定包括信用購入あっせん業者」の認定を取得した。

 これまでもメルペイは、法に定められた少額適用除外という特例を利用し、上限額30万円の範囲内で、「メルカリ」の利用実績などを基に、ユーザーに対して与信を付与してきた。今後は、認定包括信用購入あっせん業者の認定に基づき、AIを使った機械学習モデルをさらに活用することで与信の精度を向上させ、ユーザーにとって使い勝手のよい柔軟な与信を目指す考えだ。

 メルペイも、ファミリーマート同様、メルペイスマート払いの利用促進を目的に「メルペイスマート払い10%還元キャンペーン」を21年9月9日から同年10月6日まで展開した。期間中、メルペイスマート払いを利用したことのないユーザーが「メルペイスマート払い(翌月払い)」を利用すると、利用金額の10%相当分のポイントを還元する仕組みだ。ファミリーマートの場合、現金チャージから銀行チャージへの移行を見据えたものだった。メルペイの場合は、後払いサービスの認知向上・普及を狙ってのことだ。背景には、後払いを利用するユーザーのほうが、客単価向上を見込めることもありそうだ。

「精算時の現金払い」が課題に

 これまでBNPL市場をけん引してきたネットプロテクションズは、21年2月にジェーシービー(JCB、東京・港)と資本提携し、第三者割当増資で60億円を調達したのに続き、同年9月には、アジア最大級の投資顧問会社MY.Alpha Managementが運営するファンドを引受先とする約10億円の第三者割当増資についても合意。豊富な資金を得て、BNPL市場の拡大にひた走る。Paidyを買収して傘下に収めたペイパルも、BNPLの普及を軸に、日本市場で22年に攻勢をかけてくることは必至。BNPL=後払い決済サービスの勢いが、日本のキャッシュレス決済の普及を後押しする可能性は高そうだ。

 とはいえ課題がないわけではない。1つはユーザーに与える与信の精度。改正割賦販売法などの活用により、決済事業者が独自の審査で与信できるようになった半面、消費者が過大な債務を抱え込む事態にならないかと懸念する向きもある(参考記事「他の小売り大手に続き、『後払い』決済への賭けに打って出るイケア」)。BNPLに取り組む各社には、より慎重なかじ取りが求められる。

 もう1つが、「現状のBNPLの仕組みの多くは、決済時こそキャッシュレスだが、精算の段階で現金が介在しており、日本におけるキャッシュレス化の進展に貢献できるとは限らない」(キャッシュレス推進協議会事務局長・常務理事の福田好郎氏)という指摘だ。

 確かに、BNPLの代表的な決済サービスであるNP後払いやatone、新たにサービスを開始した次世代クレジットカードのNudgeなどは、実際に支払う際に現金が必要。「WAON」や「nanaco」「楽天Edy」といった電子マネーなども、リアル店のレジで残高不足が判明した際、その場で現金チャージしてから電子マネーを利用するユーザーは少なくない。キャッシュレス化を本格的に推し進めるためには、決済時だけでなく、実際に支払う精算時もキャッシュレスとなる仕組みを構築・提案する必要がある。例えば前述のナッジでは、今後はセブンATMで支払うだけでなく、銀行振り込みによる都度返済も実現する方向で検討中だ。

 QRコード決済事業者やクレジットカード会社、ゲートウエイ事業者、それにBNPL決済事業者などの努力に加え、コロナ禍で買い物などの現場における現金のやり取りが忌避されたこともあり、キャッシュレス決済は確かに普及した。しかし、先進諸国に比べると普及率ではまだ見劣りがするのが現実だ。キャッシュレス化を進展させるどんな取り組みが出てくるか、今後も注視していきたい。

(この記事は、日経クロストレンドで2021年10月7日に配信した記事を基に構成しました)

※この記事を含む特集「「PayPay」投資回収スタートで何が変わる?」は日経クロストレンドに掲載されています。

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