ターミナルを管理する日本空港ビルデングは、感染拡大防止策としての20年6月からロボットを設置した。「従来通りの案内サービスを必要とする方、旅の中で人との接触を避けることに心理的ストレスを抱える方と、双方の要望に応えらえる」(日本空港ビルデング事業開発推進本部 事業開発課 副課長の倉富裕氏)と評価する。このほかに日本航空も同様のロボット2台を利用している。

空港内の離れた部屋から案内の担当者がゲームのコントローラーを使ってロボットを動かす
空港内の離れた部屋から案内の担当者がゲームのコントローラーを使ってロボットを動かす

 当初はロボットに米アマゾンのアレクサのような音声AI(人工知能)を組み込むことも検討したものの、「キーワードに符合した返答はできるといっても、まだ運用レベルにはない」(インディ・アソシエイツ取締役 営業企画部東京本部長の岡田佳一氏)として、人が遠隔で応対する仕組みとした。新型コロナ感染症の影響でサービス業の人員削減が広がる傾向もあるが「人が活躍できるためのロボットを提供していきたい」(岡田氏)。

インディ・アソシエイツ取締役 営業企画部東京本部長の岡田佳一氏
インディ・アソシエイツ取締役 営業企画部東京本部長の岡田佳一氏

 現在は専用ロボットを1台ずつ作っているため、製造コストが数百万円と高い。それでも「設置場所にインターネットが通っていれば、我々が用意したパソコンと組み合わせて簡単に導入できる。月額料金で数十万円の運用費がかかるサイネージ1台よりも安く運用している」(岡田氏)。今後はロボットの量産を進めることで低コスト化も進め、「23年くらいまでには、全国の空港で100台ほどが稼働する状態に持っていきたい」と岡田氏は目標を定める。

コンビニでは商品を陳列

 アバター型のロボットの活用範囲はさらに広がっていきそうだ。ローソンは20年9月中旬にオープンする東京・港のビル「東京ポートシティ竹芝」内の店舗でTelexistence(テレイグジスタンス、東京・港)が開発した人間型ロボットを使い、バックヤードから商品棚への陳列業務をする。都内のファミリーマートでも同様の商品陳列をする予定だ。

Telexistenceが開発した遠隔操作ロボット「Model-T」。ファミリーマートやローソンでバックヤードから商品棚への陳列業務をする
Telexistenceが開発した遠隔操作ロボット「Model-T」。ファミリーマートやローソンでバックヤードから商品棚への陳列業務をする

 ハピロボの富田氏は「ロボットが私の代わりにその場に行ってくれるメディアになっていく」と展望する。ハピロボが扱う「テミ」は店員が接客をするだけでなく、医療や福祉の現場などで活用することも想定する。作業をする手は備えていないが、ソフトウエアさえ開発すれば「その場でIoT機器と連携させ、動かすことは容易にできる」(富田氏)。

ハウステンボス取締役CTO、ハピロボ社長の富田直美氏。日経クロストレンドのアドバイザリーボードの1人でもある。右側はテミが備える画面に遠隔地にいる人物を写したところ(写真/菊池くらげ)
ハウステンボス取締役CTO、ハピロボ社長の富田直美氏。日経クロストレンドのアドバイザリーボードの1人でもある。右側はテミが備える画面に遠隔地にいる人物を写したところ(写真/菊池くらげ)

 テミの金額は1台で約60万円(税込み)。車でも家電でも、世界中から優れた技術を探し、よりよい製品を作ることは日本人が得意としてきた。「そうした日本人の特性を生かし、世界に先駆けてテレプレゼンスを生かした世界一の仕組みを作りたい」(富田氏)と意気込む。

(写真提供/hapi-robo st、オリィ研究所、インディ・アソシエイツ)

※この記事を含む特集「「生身」から脱却? ロボ接客新時代」は日経クロストレンドに掲載されています。

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