さらに、おやつを食べながら読んでもらうために、自社で作成した10ページほどの小冊子「3PMmm...」を同梱(どうこん)している。カレー特集から季節行事の特集まで、内容は月替わりで、おやつを食べながら気軽に読める。

おやつを食べながら読める小冊子3PMmm...。記事内容は「リラックスして読める」が鉄則(写真/工藤朋子)
おやつを食べながら読める小冊子3PMmm...。記事内容は「リラックスして読める」が鉄則(写真/工藤朋子)
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 菓子に保存料を使用していないため、賞味期限が比較的短い商品もある。もし「賞味期限が近づき、食べきれないかもしれない菓子」があったらどうするか──。ユーザーはそれらを捨てずに寄付できる仕組みだ。箱に同梱された封筒に入れて送れば、一括管理している社外の組織を経由して、全国の児童養護施設などに送られるという。ユーザーには寄付と同時にスナックミーが発行する独自ポイントがたまる仕組みだ。「最近はおいしいので逆に寄付しますというユーザーもいる」(服部氏)

賞味期限が迫り、食べられない菓子はこの封筒に入れて寄付できる(写真/工藤朋子)
賞味期限が迫り、食べられない菓子はこの封筒に入れて寄付できる(写真/工藤朋子)
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体験を深めるサービスが継続利用につながっていく

 「アマゾンも定期便を手がけているが、原材料を厳選したおいしいおやつとそのおやつを食べる楽しい時間を同時に届けることはできない」と服部氏。ユーザーのおやつ体験を深めるという意図で、19年には、「本物の菓子」にこだわった手作りキットも販売を開始した。例えば、賞味期限2時間のわらび粉100%でできた「本物のわらび餅」。また「本物の杏仁(あんにん)豆腐」はアーモンドで代用されがちな原料粉を杏(あんず)で提供し、香りが全然違うと好評を得た。

 ユーザーがスナックミーの提供するサブスクサービスを継続して利用する一番のきっかけは、アマゾンなどでは得られない「おやつ体験」の充実だと服部氏は語る。

 アマゾンにはまねできない体験を、別の手立てで実現しようとしたのが、家電量販店のビックカメラと、カジュアル衣料品のユニクロの親会社であるファーストリテイリングが手を組み、異業種のリアル店を複合させて出店した「ビックロ」だ。

東京・新宿の東口にあるビックロの外観(写真/新関雅士)
東京・新宿の東口にあるビックロの外観(写真/新関雅士)
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 東京の副都心の1つ、新宿駅の東口にあるビルに開業していたビックカメラ新宿東口新店(ビックロ開業時に新宿東口店に改称)に、ユニクロ新宿東口店が入居してビックロを共同出店する形で、12年9月に開業した。

 地下3階から地下1階までと4階から6階までがビックカメラの売り場、2階から3階がユニクロの売り場、7階がGUの売り場、そして1階がビックカメラとユニクロの共同運営の売り場というフロア構成だ。レジは別々で、ユーザーはそれぞれのレジで個別に会計する。「フロア配置をサンドイッチ構造にして、家電とカジュアル衣料品の店の間でユーザーを回遊しやすくする」(ビックカメラ執行役員営業部第2営業ブロックマネージャーの松浦竜生氏)という狙いがある。

ビックカメラ執行役員営業部第2営業ブロックマネージャーの松浦竜生氏(写真/新関雅士)
ビックカメラ執行役員営業部第2営業ブロックマネージャーの松浦竜生氏(写真/新関雅士)
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 もっとも、店を隣り合わせにするだけなら、コンビニエンスストアと薬局、ファストフード店と書店など、他にも例がある。ビックロがこれらと異なるのは、単なる隣り合わせではなく、当初から来店客に「ゴチャゴチャ感」を体験してもらうことを重視して2つの店をシームレスにつなげ、相互送客を目指したことだ。

マネキン人形を活用して相互送客へ

 相互送客を進めるためにビックロが最も工夫しているのが、売り場に配置した数え切れないほど多数のマネキン人形の活用だ。

 ビックカメラの売り場のフロアには、その売り場にふさわしくユニクロの服をコーディネートしたマネキン人形がさりげなく配置されている。ビックカメラの店員がここにマネキン人形を置きたいと考え、その服のコーディネートをユニクロの店員に依頼する仕組みだ。そしてマネキン人形には、その服が男性向けか女性向けか、販売している売り場は何階かが分かる札を付けた。

ビックカメラのカメラ売り場に置かれたマネキン人形(写真/新関雅士)
ビックカメラのカメラ売り場に置かれたマネキン人形(写真/新関雅士)
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ビックカメラのテレワーク展示コーナーに置かれたマネキン人形(写真/新関雅士)
ビックカメラのテレワーク展示コーナーに置かれたマネキン人形(写真/新関雅士)
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ビックカメラのフロアのエスカレーター脇の空間を使った展示(写真/新関雅士)
ビックカメラのフロアのエスカレーター脇の空間を使った展示(写真/新関雅士)
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 例えばカメラ売り場にはカメラを持って活動する姿を連想させるマネキン人形が、テレワークに必要な機器をまとめて展示しているコーナーには室内着で働こうとしているマネキン人形が、それぞれ配置されているという具合だ。それだけではない。各階のエスカレーター脇の空間を利用して、マネキン人形と家電を展示もしている。ビックカメラの売り場でマネキン人形が着ているユニクロの服を見て興味を抱いたユーザーは、同じ館内のユニクロの売り場まで“回遊“するというわけだ。

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