梅ケ谷氏:価値観の多様化が進み、20代でひとくくりにはできない点に難しさを感じています。最近でいえば、Z世代は企業からの発信よりリアルな口コミを重視する傾向があり、そういった中で企業としてどのように発信していけばいいのか常々悩ましいと感じています。

 思った通りの結果にならず、反省した取り組みもあります。ちょうどInstagramがはやり出した時期にハッシュタグラリーという企画を「界タビ20s」で実施したのですが、響きませんでした。要因は、投稿の場所やシチュエーションなどを細かくこちら側で設定したことです。

 Z世代はSNSに関しても、自分がいいと思うものや、納得したものを投稿したいとこだわりを持つ方が多いのです。企業側で色々決めるよりも自由に発信してもらったほうがいいのだと学びがありました。そこで現在は、20代が発信したくなる界の滞在の提案や、お客様が投稿したものに私たちがコミュニケーションを取ることで投稿を促す形に変えています。

今瀧氏:旅行離れが進んでいる中で、「界タビ20s」の利用者を伸ばせてきた要因は何だと思いますか。

梅ケ谷氏:20代の変化を捉え常にプロジェクトを進化させ続けてきたことが挙げられます。もう1つ大きいと思うのは、お客様の口コミです。お客様の口コミは「界タビ20s」の認知度向上に大きく寄与していて、SNSの投稿をきっかけに界に泊まりたいと興味を持つ方がたくさんいらっしゃいます。

今瀧氏:ただ、企業側からするとお客様の口コミを生むのは簡単なことではないと思います。なぜ、ユーザーからの投稿が発生しているのでしょうか。

梅ケ谷氏:界に滞在すること自体が20代にとって貴重で新鮮な経験であること、そして「界タビ20s」そのものが発信したいと思えるブランドになってきたこと、この2つが要因として考えられます。実は、「界タビ20s」は19年ごろまで「手が届く」「ワイワイ楽しそう」な20代に向けた見せ方をしていました。21年にそれをリニューアルし、より上質感のある見せ方に変更しました。そういった「界タビ20s」自体のブランディングも、お客様の投稿を後押ししています。

動画SNSをどのように活用すべきか

梅ケ谷氏:SNS運用に関して、今瀧氏にお聞きしたいことがあります。現状ではあまり手を出せていないのですが、今後TikTokを活用していければと考えていて、界として発信するならこういう企画が面白そうだとか、うまく活用するポイントはありますか。

今瀧氏:TikTokは基本的にテキストや画像ではなく動画なので、まず何の動画を投稿するかから考えなくてはいけませんよね。さらにアカウントを運用するとなれば、定期的な更新も必要になるため余計にハードルは上がります。そういった面で悩んでいる企業は多いと思います。

 もし僕が運用を手掛けるとすれば、よくある景色や施設ではユーザーの心は動かないと思うので、旅の気分を醸成する企画を練ります。例えば、僕は旅行に行く道中の何気ない会話が好きでいいなと思うのですが、新幹線の中の友だちとの会話をコンテンツにするのもありかもしれません。ユーザー目線でのプランニングが、TikTok活用の第一歩だと思います。

梅ケ谷氏:企業側からすると施設や界のことを伝えたくなりますが、発想を変える必要があるんですね。

今瀧氏:ブランドや商品のことを伝えなきゃというのは企業が陥りがちなパターンですが、Instagramですでに施設やブランドのことには触れていたりするんですよね。だとすればInstagramとTikTokとの連携が次のポイントです。例えば、TikTokは認知獲得に振り切った運用をして、Instagramでブランドの理解を促すとか。TikTokは他のSNSやサイトへの遷移がしやすいので、SNSをまたいだ設計もしやすいと思います。

次ページ 「癒やし」や「ゆとり」を求めているZ世代