1泊1万9000円の宿泊プラン「界タビ20s」とは

梅ケ谷氏:よろしくお願いします。本日は、星野リゾートの温泉旅館ブランド「界」の20代向けプロジェクトである「界タビ20s」についてお話しさせていただきます。

 「心地よい和の空間と地域の魅力を再発見できる」をコンセプトとした温泉旅館ブランドである界は、現在、北は北海道から南は鹿児島まで国内22カ所で展開しております。滞在を通じてその地域ならではの体験ができるのが界の特徴で、地域の伝統工芸を取り入れたご当地部屋や、伝統文化を体験できる体験プランなどもご用意しています。界のメインターゲットは30~40代ですが、世代を問わず楽しんでいただけるよう各世代に向けた取り組みをしています。

 その1つである「界タビ20s」は、18~29歳までの限定で、1泊1万9000円での宿泊を提供する20代向けの企画です。なぜ、こうした取り組みをしているかというと、主に20代のうちに温泉旅館や界に滞在する楽しさを味わってもらい、その後も長く界を利用してもらうためです。

 「界タビ20s」の始まりは13年にまで遡ります。背景には若者の旅行離れがありました。05年から8年間で1225万人も旅行者が減少したことに危機感を持ち、若者に少しでも旅をしてもらおうと、取り組みをスタートさせました。

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 「界タビ20s」は、若者のニーズを捉えている感触があり実績も好調です。利用者の推移を見てみると、新型コロナウイルスが流行した20年度を除いて右肩上がり。宿泊者数は延べ4万人突破と、20代の多くの方にご利用いただいています。

 利用は、ご夫婦やカップルの記念日など特別な旅行が中心です。友人同士でワイワイ楽しく観光するというよりも、宿の中でゆっくり過ごすための旅行先として選ばれています。先ほどZ世代は情報収集力が高いという話がありましたが、旅行においても旅の前にしっかりとリサーチをして、チェックインからチェックアウトの時間まで、目いっぱい楽しみたいという方が多い印象です。

価値を感じれば、お金や労力惜しまないZ世代

 「界タビ20s」を通じて見えてきた今どきの20代の特徴は3つあります。1つ目は自分自身の価値基準がはっきりしていることです。20代向けの商品だから、企業がお勧めしているからではなく、自分が納得したものを選びたい、購入したいという傾向があります。

 2つ目は、価値があると思ったものには、お金や労力を惜しまないことです。「界タビ20s」を利用する方も、ただ安く泊まれるからではなく、界での滞在やその特徴を理解してくれています。実際に宿泊されるお客様も、価値を感じて下さればオプションプランであっても迷わずご利用下さいます。

 3つ目は、情報収集力が高く、正確かつ効率的な点です。InstagramをはじめとしたSNSの投稿や宿泊予約サイト、その他の口コミなどと見比べながら時間をかけず効率的に情報収集している様子が浮かび上がっています。以上、「界タビ20s」から見えてきたZ世代の特徴をご紹介しました。

河村:梅ケ谷さん、ありがとうございました。ここからはお二人が取り組まれている事業やZ世代観をさらに深掘りできればと思います。まず私から伺いたいのですが、「界タビ20s」のような若者向けの施策では、どのようなところに難しさを感じますか。

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