このほかにも、映画好きのインフルエンサーがおすすめの映画を紹介する「#サブカルシネマに酔いしれ隊」というSHIBUYA TSUTAYAとの企画や、カフェやネイルサロンなど店舗のプロデュースも手掛けています。

 ここからは具体的な事例を交えながらZ世代を顧客にするポイントを紹介します。そもそも1990年代中盤から2010年ごろまでに生まれた10~20代前半のZ世代は、「SNSネーティブ」とも呼ばれ、SNSを使った拡散力を持つのが特徴です。同世代だけでなく、他の世代に対しても影響力を持っています。Z世代は話題の起点になる、いわばインフルエンサーのような存在といえます。

キーワードは「金魚すくい」と「花火」

 では、どうアプローチすればいいのか。大事なのはZ世代の価値観を理解することです。Z世代はSNSを通じて色々な価値観や生き方に触れています。そのため、マスメディアを通じて伝わる世間の当たり前よりも、「自分らしさ」を大事にする価値観があります。マスマーケティングのように囲おうとすると「私はみんなと同じではないから」と離れていってしまうのがZ世代の特徴です。

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 僕はよく「金魚すくい」に例えるのですが、Z世代は、大きく囲うのではなく小さなポイ(すくい網)で確実にすくい上げるような、個に刺さるマーケティングが必要になっていると思います。

 Z世代のトレンドは、まるで「花火」のように小さく・短く・大量に打ち上がるのも特徴です。トレンドの移り変わりが早く、準備している間に企画が古くなっていた、なんてこともよく起きます。そのため企業には、トレンドを追いかけるのでなく「花火」が打ち上がる場所を見つけて先回りする発想が求められます。

 Z世代は情報が大量にあふれる中で、自分にとって必要な情報を見極める能力にもたけています。商品情報やレビューのチェックが習慣づき、SNSを通じてモノを買うのにも抵抗感のない世代です。

 SNSはZ世代と切り離せないものであり、Instagram(インスタグラム)やTwitter(ツイッター)、最近であればTikTokもですが、プラットフォームごとの特性を理解し活用することがZ世代への施策には欠かせません。

 価格や商品の機能よりも世界観やブランドのストーリー性を重視し、自分の「好き」なブランドから商品を選ぶ。そんな消費傾向もZ世代には見られます。かといって広告で企業の「好き」を一方的に押し付けるのはNGです。Z世代は「広告嫌い」とよくいわれますが、SNSに触れている時間が長いからこそ玉石混交の広告を目にする機会も多く、広告を敬遠する一因になっています。

 どんな広告であれば受け入れられるのか。一例として、僕と私とがプロデュースした世界各国のお茶を扱うティーブランド「TEAtriCO(ティートリコ)」のプロモーション事例を紹介します。

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 この取り組みでは、人気ユーチューバー「コムドット」のゆうたさん主演によるウェブドラマを制作し、サブスクリプション(定額課金)型の購入者向けのコンテンツとして配信。単なる商品訴求ではなく、作品を通じてティートリコのある暮らしや世界観が伝わるよう、ストーリー性を意識しました。従来の広告手法と比較すると、やや遠回りに見えるかもしれませんが、単に商品を宣伝するのでなく、ブランド訴求的なアプローチの方がZ世代には響きます。この事例もZ世代からの支持を得ることができました。

 まとめると「自分らしさ」を大事にするZ世代には、マスではなく個に向けたマーケティングが必要になること、また、広告を打つにも商品の宣伝ばかりでなく、その背景や世界観から「好き」になってもらうことがZ世代を顧客にする秘訣と言えます。

河村:今瀧さん、ありがとうございました。続いて梅ケ谷さんに、星野リゾートの若者向けプロジェクトについてお話しいただきます。

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