1990年代中盤から2010年ごろに生まれた世代を指す「Z世代」。インターネットやスマートフォンに幼い頃から慣れ親しんだ「デジタルネーティブ世代」でもある彼らはSNS(交流サイト)の発信力に優れるだけでなく、情報を選別する能力も高い。Z世代と企業が関係を構築するには、これまでと異なる視点が求められている。

 日経ビジネスLIVEは日経クロストレンドと共同で10月19日、「星野リゾートの実践から学ぶ、『Z世代』を顧客にする極意」と題したウェビナーを開催した。講師として登壇したのは、自らもZ世代で「食べられるお茶」や男性も通いやすいネイルサロンなど、斬新な企画で次々とヒットを飛ばす“Z世代の企画屋さん”こと、僕と私と(東京・渋谷)の今瀧健登CEO(最高経営責任者)。もう1人は、星野リゾートで若者向けに展開する「界タビ20s(トゥエンティース)」プロジェクトを担当する梅ケ谷夏歩氏だ。自らもZ世代である日経クロストレンド記者の河村優がモデレーターを務め、Z世代の意識や消費行動、さらにはZ世代に響く企画について語り合った。

(構成:清水美奈、アーカイブ動画は最終ページにあります)

河村優・日経クロストレンド記者(以下、河村):本日は「星野リゾートの実践から学ぶ、『Z世代』を顧客にする極意」をテーマに、星野リゾートの若者向け企画、「界タビ20s」プロジェクトを担当する梅ケ谷夏歩氏と、Z世代向けのマーケティングを専門とする僕と私とCEOの今瀧健登氏にご講演いただきます。それでは本日の講師をお招きしたいと思います。梅ケ谷さん、今瀧さん、よろしくお願いします。

梅ケ谷夏歩・星野リゾート 界マーケティング(以下、梅ケ谷氏):2018年に新卒で星野リゾートに入社いたしまして、現在、星野リゾートの温泉旅館ブランドである界のマーケティングを担当しております、梅ケ谷と申します。本日は、よろしくお願いします。

今瀧健登・僕と私とCEO(以下、今瀧氏):僕と私と代表の今瀧と申します。僕自身、1997年生まれのZ世代で、Z世代向けの企画マーケティング会社を経営しています。「餅は餅屋」と言いますが、Z世代のことはZ世代にということで、今日は等身大目線からもZ世代についてのお話しできればと思います。よろしくお願いします。

河村:大前提としてZ世代がどのような世代なのか、そして、今回のテーマでもある「Z世代を顧客にする極意」について今瀧さんから解説いただきます。

今瀧氏:まず簡単に僕が経営する会社の紹介をします。僕と私とは、ちょうど設立2年目を迎えようかという会社です。業務委託を含めて50人近くのメンバーがいて、そのうち9割がZ世代という大変若い組織となっています。

 これまでに手掛けた企画の代表例としては、恋活・婚活マッチングアプリ「タップル(tapple)」のTikTok(ティックトック)アカウントプロデュースがあります。ただサービスの説明をするのでなく、少女漫画のように思わずキュンとする「幼馴染と共同生活中【おさ活】」という動画シリーズを配信。見ているだけで恋をしたい気持ちになるコンテンツを届けることで、タップルのブランディングを行いました。22年3月にアカウントを開設し、現在フォロワー数は約27万人。累計再生回数も1億回を超えています。