次の図は日次の売上高の推移だ。年始に大きく売上高が上昇して以降は前年比でマイナス圏を推移していた日次売上高が、2月に入ってから前年比でプラスの日が増えていることが分かる。
売上高前年比上昇率が最も高かったのは2月5日
2月の1カ月間で最も売上高の前年比上昇率が高かったのは2月5日。この日の物価上昇率が大きかった上位20品目を並べたものが次の図だ。
カップ麺や缶詰などの保存食、マスクやティッシュなどが含まれる日用紙製品が日次物価を大きく押し上げていることが分かる。上位20品目のうち、半分近くが新型コロナウイルスによるパニック買いに影響を受けたものだ。スーパーやドラッグストアで、保存食や日用紙製品の商品棚が見事なまでに空いている光景を見かけた読者は少なくないはずだ。
これらのデータより、2月はいわゆる「コロナ特需」により、スーパーマーケットの売上高が上昇し、それに伴い景況感が改善したと言える。では、3月はどのようになったのだろうか。
前出のスーパーマーケット景気動向調査によれば、景気判断DI(見通し)は前月からマイナス1.1ポイントの39.1となっており、あくまで2月の活況は一時的なものであり、3月には慎重な判断をしているスーパーマーケットの経営者が多いことが分かる。
しかし、先ほどの日経CPI Nowの日次売上高のグラフを見ると、3月は2月以上に売上高の前年比上昇率が高い日が多く、その上昇幅も大きいことが分かる。3月の中で最も売上高の前年比上昇率が大きかった3月4日の上位20品目を見てみよう。
2月5日に比べると保存食の品目数が減っているが、それでも依然としてコロナ特需と言えるような状況が続いていることが分かる。
3月25日の夜、東京都の小池知事が緊急記者会見を開き、週末の不要不急の外出を控えることに加え、夜間の外出を控えることなどを強く呼びかけた。翌日には隣接する神奈川、千葉、埼玉、山梨の4県に対しても不要不急の外出の自粛を求めるよう協力を呼びかけた。その結果、26日は関東各地のスーパーマーケットで長蛇の列が確認されている。
このような状況とJCB消費NOWのデータを勘案すれば、3月は2月以上にスーパーマーケットの売上高は上昇し、景況感も改善した可能性が高いと考えられるが、スーパーマーケットの経営者からは「需要の先食い」を懸念する声も聞かれている。
本特集では毎月、POSデータやクレジットカードの決済データなど、いわゆるビッグデータを解析し、経済指標や統計が発表される前にいち早くリアルなデータをお届けしていく。
※この記事を含む特集「 個人消費の“風”を読む~購買ビッグデータから見える今~」は日経クロストレンドに掲載されています。
有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。
※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。
※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。
この記事はシリーズ「日経クロストレンド」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?