3年ぶりに千葉・幕張メッセでリアル開催となった「東京ゲームショウ2022」。37の国と地域から605の企業・団体が出展する。
ソニーが2022年9月12日に発表した「Xperia 1 IV」専用のゲーミングギア「Xperia Stream for Xpria 1 IV」をゲームショウ会場で取材。なぜXperia専用のゲーム専用デバイスを提供するに至ったのか、開発の経緯などについて担当者に話を聞いた。 ▼関連リンク 日経クロストレンド「東京ゲームショウ2022特設サイト」 東京ゲームショウ2022公式サイト(クリックで公式サイトを表示します)

 ソニーのスマートフォン「Xperia」シリーズの最新フラッグシップモデル「Xpeira 1 IV」のゲーミング性能を強化するべく、同社が新たに投入した「Xperia Stream for Xpria 1 IV」。Xperia 1 IVに装着することで本体を冷却しゲームプレイ時のパフォーマンス低下を防ぐのに加え、eスポーツやライブ配信に役立つ有線LANやHDMI端子などを、ゲームプレイを阻害しない形で搭載しているのが大きな特徴だ。

ソニーが新たに発表した「Xperia Stream for Xpria 1 IV」は、「Xperia 1 IV」に装着することでゲームプレイ時に本体を冷却し、なおかつ有線LANやHDMI端子などが使えるようになるデバイスだ
ソニーが新たに発表した「Xperia Stream for Xpria 1 IV」は、「Xperia 1 IV」に装着することでゲームプレイ時に本体を冷却し、なおかつ有線LANやHDMI端子などが使えるようになるデバイスだ
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 ソニーがスマートフォンのゲームプレイに特化したゲーミングデバイスを提供するのは今までにないことだが、なぜそうしたデバイスを投入するに至ったのだろうか。その経緯や開発のポイントなどについて、ソニーのモバイルコミュニケーション事業本部 G推進室 兼 企画部の田倉研冴氏に話を聞いた。

取材に応えるソニーの田倉氏
取材に応えるソニーの田倉氏
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――「Xperia Stream for Xpria 1 IV」はXperia 1 IVの発表時からと、早い段階から提供することが明らかにされていました。いつ頃から開発を始めたのでしょうか。

田倉氏:実は2年前から構想していまして、前機種「Xperia 1 III」の頃からいろいろなテストもしてきました。さまざまな形状のモックを作り、ベストな形状や冷やし方を突き詰めてようやく完成に至っています。

――開発する上で工夫したポイントはどこでしょうか。

田倉氏:Xperiaは高画質、高音質というのを最大の特徴としているので、熱で制約が発生してしまうのは好ましくないですし、Xperiaを利用する人の中にはほぼゲーム機として使っている人もいて「もう少し頑張ってほしい」という声もある。そうした声に応えられるよう性能を最大限引き出せることを目標の1つとし、まずはeスポーツの選手や、ゲームのコミュニティーリーダーとなるライブ配信者に響く内容・スペックを選んでこの形にたどり着いています。

――実際に触ってみると見た目に厚みはありますが、操作しやすく持ちやすいと感じます。

田倉氏:その過程は非常に努力しており、5~6回のペースで試作機を作り、実際のeスポーツのプロ選手にゲームしてもらうというのを繰り返してきました。1本1本の線、形を含め全てプロのフィードバックを入れて突き詰められていますし、質感についてもベストなものを数種類作った上で、長時間プレイしても気持ち悪くなく、遊びやすいベストなものを選んでもらっています。

――冷却の仕組みなのですが、空冷により端末の両面を冷やす独自性の強い機構で、通常のスマートフォンの冷却デバイスとはかなり違った印象を受けます。

田倉氏:発熱源を裏側に確実に持ってきているようなゲーミングフォンですと、ペルチェ素子で1箇所を冷やせばよいのですが、われわれはスマートフォンのフラッグシップモデルとしてもっとも使いやすい形、バランスを突き詰めて作っています。それゆえ冷やし方は必ずしもゲーミングフォンと同じではないことから、現在の形を採用するに至っています。  単体で使ってスタイルがよく、カメラがいいというスマートフォンという要素を満たした上で、ゲームを本気でやる時だけ装着してゲーミングフォンと対等に戦える次元に持っていくというのがこのデバイスのコンセプト。ですのでゲームだけを考えて設計された端末とは方向性が違っているのです。

Xperia Stream for Xpria 1 IVの背面。背面のファンを用いて本体の背面だけでなく、画面側も冷却しているのがポイント
Xperia Stream for Xpria 1 IVの背面。背面のファンを用いて本体の背面だけでなく、画面側も冷却しているのがポイント
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――本体の端子類についてですが、3.5mmのオーディオ端子、有線LAN、HDMI端子、そしてUSB Type-C端子の4つを選ぶに至ったのはなぜでしょうか。

田倉氏:オーディオと充電の端子は一般の顧客にもニーズがありますが、eスポーツ選手にとっては、コロナ禍の影響などもあって大会がオンラインでの開催が増えているので回線が命となります。eスポーツのニーズを満たすためにも有線LANを搭載しました。

 また配信者となるとWi-Fiで環境は整えられる一方、必要なのは(外部出力に用いる)HDMI端子と、充電ということになります。そうしたことからこの4つの端子を選ぶに至っています。

eスポーツやライブ配信需要に対応するべく有線LANやHDMIなどの端子を備えるが、プレイに影響が出ないよう本体中央下部に装備されている
eスポーツやライブ配信需要に対応するべく有線LANやHDMIなどの端子を備えるが、プレイに影響が出ないよう本体中央下部に装備されている
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――発表後の反響はどうでしたか?

田倉氏:ソニーといえばSIE(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)という見方もあってか、過去の「Xperia Play」のようなゲーミングに特化したデバイスを期待していたとの声も多くありました。ですがわれわれはスマートフォンの領域で、モバイルゲームに最もマッチする答えを出したいという考えを持っています。例えば、Androidでライブ配信する上で機材の選定などに苦戦する人も多いですが、そこに「これさえ買ってもらえれば安心して配信できますよ」といった明確な答えを打ち出す所はプロデュースできたのかなと思っています。

――最後に市場全体の動向に関して伺います。スマートフォンはタッチで操作することが前提で、コントローラーなど外部の機器を使うとチートになってしまうケースもあるのでパソコンのようにゲーミング関連の周辺デバイスが盛り上がりづらい環境にあります。メーカーとしてこうした状況をどのように評価し、対応を進めているのでしょうか。

田倉氏:チートかチートじゃないかというのはコミュニティーによって分かれてきますし、ゲームによって判断されることもある。デバイスメーカーとしてはテクノロジーでユーザーを優位にしたいと思うのですが、それはコミュニティーを破壊してしまうことになる。あくまでコミュニティーをリスペクトしつつ、受け入れられるラインをプロフェッショナルから聞きながら見極めたうえで、最大限対応できるところを突き詰めています。

 パソコンのゲーミングは20、30年が経過していますが、モバイルはまだ新しくそうした部分を探索している段階であることは確かでしょう。ですがそのあり方というのも今後数年のうちに固まってくるのではないでしょうか。

――ありがとうございました。

(文・写真/佐野正弘)

[日経クロストレンド 2022年9月15日掲載]情報は掲載時点のものです。

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