コロナ禍で再認識されたキャンプの魅力

コロナ禍の影響で、密にならないレジャーとしてキャンプが再注目されています。昨今のキャンプシーンの盛り上がりをどのように捉えているのでしょうか。

会長 グローバルでも考えは同じだと思いますが、根っこの部分では「人間性の回復」がキャンプによってもたらされる真の価値だと思っています。例えば、家族で行ったら家族の絆が深まるし、友人たちと行けば友人たちとの絆も深まる。これって人生の価値そのものなんですよね。キャンプは人生価値を上げるもの。特にこのデジタルな時代の中で、リアルな体験がますます重要になっているので、ブームという一過性のものではなくなってきていると思います。コロナ禍の影響で、僕が思っていたより5年くらい早く波が来ている感じがしますね。

社長 人間って本来自然の資源というか、自然から食べ物を頂いていることを考えると、そもそも自然の上で成り立っているのが人間の生活なんです。かなり文明社会が進歩している今、その文明自体が自然を遠ざけてしまっています。見方によってはキャンプって人間の生活の営みそのものだと思うんです。その「当たり前だからこそ大切なこと」っていうのを、すべての人が感じるタイミングをもたらしたのがコロナ禍だった。会長は以前から、「文明が進歩すればするだけ人間性が低下していく。それを癒やせる、取り戻せるのは自然の力だけだ」と言っていますが、その実感がより強くなりました。今後さらにキャンプに対する需要は続いていくし、増えると思います。

「キャンプって人間生活の営みそのものだと思うんです。その当たり前の潜在的な欲求を満たしてくれる力がキャンプにはある」と山井梨沙社長
「キャンプって人間生活の営みそのものだと思うんです。その当たり前の潜在的な欲求を満たしてくれる力がキャンプにはある」と山井梨沙社長

実際、スノーピーク自体の顧客も増えてきているのでしょうか。

会長 2020年の1年間で、スノーピークのポイントカードの登録ユーザーが1カ月に1万人ずつ増えていったんですよ。もともと40万人くらいいて、それも十数年かけて40万人になったのが、1年で12万人も増えたわけです。それが今、実際に起きていることなんです。

スノーピークのポイントカードは、年間の購入額に応じて、シルバー→ゴールド→プラチナ→ブラックとステータスが上がっていく仕組み
スノーピークのポイントカードは、年間の購入額に応じて、シルバー→ゴールド→プラチナ→ブラックとステータスが上がっていく仕組み

社長 ポイントカードの登録ユーザーの購買率は全体の半分くらいなので、実際に購入してくださっているお客さんは、その2倍くらいはいらっしゃると思います。

会長 コロナ禍がなければ12万人も増えなかったかもしれませんね。不要不急の外出が抑制され、その反動もあってキャンプに行きたいっていう欲求が高まっていなければ、実際にキャンプを始めるのが3年後だったかもしれないし、5年後の人もいるかもしれない。そういう潜在的だったキャンパーたちが、20年から21年にかけて始めていますね。

キャンプは単純に3密にならない、選択肢の少ない中での娯楽というだけではなかった。実際にやってみたら、人間性の回帰の部分も含めて気がついたということでしょうか。

会長 そうですね。キャンプは文化として、今後ますます根付いていくと思います。

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