※日経トレンディ 2020年6月号の記事を再構成

これほど、誰も予想せぬ事態が起きたことがあっただろうか。20年2月下旬から日本でもまん延し始めた新型コロナウイルスが、五輪フィーバーを吹き飛ばし、「戦後最大の危機」を世界中にもたらしている。国際通貨基金(IMF)の見通しによれば、20年の世界GDPの予測値はマイナス4.9%。しかもまだ終息は見えていない。
しかし、このような時期だからこそ売れた商品もある。感染予防を期待して、マスクや消毒液などの衛生用品、健康に良さそうな食品、そして空間除菌剤や空気清浄機が売れているのは言うに及ばず。外出自粛やテレワーク推奨に伴って、自宅でできるだけ快適に過ごしたいという「新・巣ごもり需要」も生まれている。
日経クロストレンドの4月の調査によれば、新型コロナによって外食、旅行、イベントなどの「コト消費」は激減。代わりに「自宅での食事」や「動画配信サービスの利用」など、宅内での消費が増えている。この2~4月に好調だった商品では、家庭料理を簡単かつ豪華にできる調理家電や、食材を混 ぜるだけで食卓に出せるメニュー用調味料がまず挙がる。運動不足を解消できるゲーム機は品不足が慢性化するほどの売れ行きで、コミュニケーション不足を補えるテレビ会議システムは、業務だけでなく「飲み会」にも使われるほど一気に定着した。未曽有の危機を少しでも豊かに過ごしたいという思いが見えてくる。
もし、このような生活が長引くのであれば、有名料理店の味を自宅で楽しめるキットや、自宅を映画館のようにできるプロジェクター、「癒やし」を提供できる家族型ロボットなど、自宅でぜいたくができる商品やサービスに手を伸ばす人も増えるだろう。
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