ECプラットフォームで市場規模を把握

 コストをかけて調査会社などに依頼するのも手ですが、我々がよく参考にしているのが楽天市場やAmazon、Yahoo!ショッピングなどの情報。国内を代表するECプラットフォームで、多種多様な商品が売られ、マーケットデータとしては非常に安定している市場です。

 注目するのは、商品のレビュー件数。EC業界では、一般的に「レビューを書き込むのは購入者の2~3%」といわれています。購入者の50人に1人がレビューを書き込んでいるとすると、レビュー件数に50を掛け、さらに商品単価を掛ければおおよその販売総額が分かります。こうしたデータを商品ごとに集めていくことで、市場全体の規模を把握できるのです。ざっくりとしたデータですが、実際に後で検証してもそう大きく外れていることはこれまでありませんでした。

 例えば5000円の商品が4000レビューの場合、販売総額は10億円。発売から5年たっていたとすると、年間で約2億円の売り上げと考えられます。では自社もそれと同じだけのシェアを目指すとしたら、どのくらい売ればいいのか。計算から市場規模や競合プレーヤーの規模が想像できるようになれば、自社の戦略も絞られてきますよね。市場や競合を具体的に知るというのは非常に重要です。

2020年の国内におけるEC市場規模は約12兆円。その4分の3をECプラットフォーム系が占める
2020年の国内におけるEC市場規模は約12兆円。その4分の3をECプラットフォーム系が占める
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 「類似商品の事前リサーチをおろそかにしている」というのもD2C事業の失敗の要因として挙げられます。そこで下図のシートのように、競合商品を3つぐらいに絞り込み、各項目について徹底的に調査することが重要になってきます。競合商品ではどんなブランドコンセプトをうたっているのか。打ち出しているストーリーや第一想起されるようなキーワード、SNSで使っているハッシュタグなどをくまなく調べていくといいでしょう。

 さらに消費者との接点・コミュニケーションの比較も重要です。例えば、LP(ランディングページ。訪問者が最初にアクセスするページ)では、どのような要素を訴求しているか。またFacebookやInstagramの広告をチェックするだけでなく、実際に商品を購入してみて、どんなユーザー体験ができるのかも知っておきたいところです。こうして競合商品の方向性を分析すれば、自社商品の世界観やパッケージなどをどうやって差別化していくかという販売戦略につなげることができます。

競合商品がどんなコンセプトやストーリーで売り出しているのかを徹底的に分析することが重要
競合商品がどんなコンセプトやストーリーで売り出しているのかを徹底的に分析することが重要
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 消費者のニーズが多様化していることも大きく影響し、D2Cの市場は今後さらに盛り上がるとみられています。単価が低く、これまでネットで買う理由があまりなかった食品や日用品の分野にもD2Cでの参入が増えており、その動きはさらに活発化しそうです。

(この記事は、日経クロストレンドで2022年2月4日に配信した記事を基に構成しました)

※この記事を含む特集「イノベーターズ・クロス」は日経クロストレンドに掲載されています。

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