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 これまで「toeや東京事変も動いた 逆境ライブハウスに3万7000の支援」と「ミニシアターが「ネット配信」 逆境で見えた自立の道」で見たように、新型コロナウイルスは映画館やライブハウスなど「観客動員」を前提とする3密の業界に深刻な打撃を与えた。それは絵画などアートの領域も同じだ。

 展覧会や芸術祭といった催しの中止や延期が相次ぐが、打撃を受ける仕組みは、音楽や映画とは少し様相が異なっている。関係者が口をそろえるのは、「美術館の休業よりも、アートフェアが開催できないこと」の厳しさだ。6月にスイスで開催予定だった世界最大規模のアートフェア「アートバーゼル」が9月に延期され、3月に開催予定だった国内最大規模の「アートフェア東京」も中止となった。

 「アートフェア」とは、アート業界における展示会や見本市のこと。会場ではギャラリー(画廊)がブースを出展。所属するアーティストや保有する作品を来場者に紹介し、その場で作品の売買もする。

2019年のアートフェア東京には6万人が訪れ、総売り上げは約30億円に上った

 アートフェア東京の開催期間中だけでも、売買される作品の総額は約30億円。中止によってこれだけの取引が消えた格好だが、ギャラリーにとっては、自らが開催する展覧会に呼び込む接点づくりの場を失った影響も大きい。

 その上、営業自粛要請によってギャラリーを開けず、展覧会も開催できない状態が続いている。ギャラリーにとって展覧会は、公立の美術館や博物館のそれとは性質が違い、実質は作品の売買が目的だ。銀座でギャラリー「ガレリア・グラフィカ」を運営する樫山敦氏は「家賃もばかにならない中で、3月から売り上げがゼロ。これ以上の自粛は厳しい」と話す。