「2011年の創業以来、試練はたくさんあったが今回は次元が違う」。レジャー・体験予約サイトを運営するアソビュー(東京・渋谷)の山野智久CEO(最高経営責任者)は危機感をこう口にする。「今のままでは厳しい。生き残るためのプランを進めている」
アソビューが運営するのは、社名と同じ名称のレジャー・体験予約サイト「アソビュー!」。旅行先での観光や、週末のデート、家族での外出などシーンに応じて検索し、施設を予約できる。国内7000超の施設と提携しており、累計700万人がサービスを利用している。
2019年6月には、経済産業省が世界で成長する新興企業を支援する「Jスタートアップ」に選出。コト消費の拡大を追い風に社員は140人まで増え、IPO(新規上場)を見据えるまで成長していた。
外出自粛で計画比95%減に
だが、新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛で事業環境が激変。3月中旬からレジャー・体験予約サイトの流通総額が大幅に減った。政府が緊急事態宣言を出した4月には「アソビュー!の流通総額が当初の計画比で5%、つまり95%減になった」と山野CEOは打ち明ける。

足元で緊急事態宣言は解除されつつあるが、「有事がいつまで続くかは分からない」と山野CEO。主力のサービスが新型コロナの影響で大打撃を受ける中、「今は1円でも多く利益を上げて、1円でも多く販管費を下げるしかない」と語る。
生き残りのための収益源として4月から新たに始めたのがコンサルティングサービスだ。アソビューにはコンサル会社からの転職者も多く、「実業は止まっているが優秀な人材はたくさんいる」と山野CEO。「期間限定」としながらも「ウェブサイトの構築、サービスの計画立案、人材採用など複数のコンサルティング案件を進めている」と話す。
人件費や広告費など販管費は以前から6割減らした。「人は企業のカルチャーなので雇用を維持したい」(山野CEO)。そこで考えついたのがコロナの影響が少ない他の業種への出向だ。「現在30人ほどが出向している」と山野CEOは話す。
期間限定でのコンサル業務に社員の出向――。あらゆる手で生き残りを図るアソビュー。山野CEOは「今後2年間、コロナ禍が続いても会社を存続させるメドは立ちつつある」と前を向く。
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