マルハニチロはサーモン陸上養殖で、日本初のブルーボンドを発行した。投資家に海洋保全に取り組む企業のESGの姿勢を示し、企業価値向上を狙う。

 マルハニチロは2022年10月、海洋保全のために資金を調達する債券「ブルーボンド」を日本で初めて発行した。発行額は50億円で償還期間は5年。金利は0.55%。資金は持続可能な漁業や養殖事業に充てる。主に充当するのは同社と三菱商事が同10月に富山県入善町に設立した新会社「アトランド」のアトランティックサーモン陸上養殖事業だ。

 養殖アトランティックサーモンの需要は世界的に高く、約7割を北欧や南米の企業が供給する。輸入コストがかかるため、マルハニチロは国産化を模索してきたが、海上養殖は適地が限られ、陸上養殖は低水温を保つのに電力コストがかかり、採算が取りにくいという課題があった。

 そんな中、浮上したのが富山県入善町だ。立山連峰からの冷たい湧き水や、町が提供する3℃の海洋深層水を利用でき、サーモン飼育にコスト競争力があると判断した。新会社の総事業費は約110億円。年間2500tのサーモンを養殖し、2025年度に稼働、27年度に出荷を目指す。再生可能エネルギーの導入など環境に配慮した施設にする。この事業にブルーボンドの資金を充てる。

ブルーボンドの資金は富山県入善町(上)のアトランティックサーモン(下)の陸上養殖施設に充当する。立山連峰からの湧き水や海洋深層水を利用し、コスト競争力のある養殖を手掛ける(写真:マルハニチロ)
ブルーボンドの資金は富山県入善町(上)のアトランティックサーモン(下)の陸上養殖施設に充当する。立山連峰からの湧き水や海洋深層水を利用し、コスト競争力のある養殖を手掛ける(写真:マルハニチロ)

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