CO2排出量が多い飛行機を避ける動きが、日本でもじわりと広がっている。航空大手は、消費者に向け脱炭素の取り組みアピールに力を入れる。

 新型コロナウイルス感染症の水際対策緩和に続き、2022年10月に「全国旅行支援」が始まるなど、人の移動が活発化している。こうした中、欧米に続く形で国内でも徐々に顕在化しつつあるのが、CO2排出量が多い飛行機への忌避感だ。ようやくの航空復活に水を差すまいと、国内航空大手が「脱炭素化」に向けた取り組みのアピールに動き出した。

機体に低燃費加工

 全日本空輸(ANA)は、「ANAグリーンジェット」の運航を22年10月5日に羽田-サンフランシスコ定期便で開始した。11月には国内線にも1機を投入する。従来機に比べ約2割の低燃費を実現できるとするボーイング787型機に特別塗装を施したもので、植物由来原料を用いた人工皮革製ヘッドレストカバーを導入するなど、環境に配慮した取り組みを実施する。

 また、本題となる飛行によるCO2排出量の削減に向け、飛行中の空気摩擦抵抗を低減するリブレット技術を機体に試験的に導入する。リブレットとは、「サメ肌」のように周期的で微細な凹凸で構成する表面形状のことで、流体との接触摩擦抵抗を低減させる効果を持つ。今回の機体では、ニコンがレーザー加工により実現したリブレットフィルムを気流の激しい主翼付け根付近と胴体上面の一部に装着する。摩耗変化、耐久性などの技術検証を行う。

22年10月5日に運航を開始した「ANAグリーンジェット」
22年10月5日に運航を開始した「ANAグリーンジェット」
飛行中の空気摩擦抵抗を低減する構造を備えたフィルム (写真:ANA、2点とも)
飛行中の空気摩擦抵抗を低減する構造を備えたフィルム (写真:ANA、2点とも)

 リブレットフィルムは装着が可能な、機体表面全体の約80%に配置する予定で、2%の燃費改善効果が見込めるという。同社の全機体に展開すれば、年間の燃油費を80億円、CO2排出量を30万t削減できる。「フィルム装着にかかるコストや重量増加は燃費改善効果で十分賄うことができる」(ANA)と判断した。今後もニコンと共同でCO2削減効果の検証などを進める計画だ。

 機体には、企業向けのCO2削減プログラム「SAF フライトイニシアチブ」のロゴも描いた。バイオマス原料由来などの持続可能な航空燃料(SAF)を利用し、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)やCDPなどが求める情報開示に利用できるCO2削減証書を発行する。物流・貨物を対象に21年に立ち上げ、22年には従業員の出張を対象とするプログラムを開始している。

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