かつて日本マクドナルドは取引先の中国の食品加工会社のずさんな衛生管理実態が明るみに出て大きくブランドを棄損したが、見事に復活を遂げた。日本総合研究所創発戦略センターの橋爪麻紀子シニアマネジャーは、「食だけでなく、地域での様々な活動を通して人々に寄り添い、“共感”を育んできた」と評価する。病気と闘う子供とその家族のための滞在施設「ドナルド・マクドナルド・ハウス」を全国で運営し、精神的・経済的な困難を抱える人々を支援するなどの活動をしている。

 「独り善がりなESGでは人々の共感は得られない。自社ならではのサステナビリティに多くの人を巻き込み、社会を豊かにする企業がこれから選ばれていくだろう」と橋爪シニアマネジャーは話す。

若い世代の支持集めたイオン

 3回目のESGブランド調査では、回答者の年代や投資経験を切り口に多面的に分析した。

 注目すべきは、若い世代が評価する企業の顔ぶれに変化が見られることだ。2年前の第1回調査では、「29歳以下」も含めほぼ全ての年代でトヨタが総合1位だったが(「60歳以上」はソニー)、第2回調査で「29歳以下」の1位はセブン&アイ・ホールディングスになり、トヨタはトップ3から姿を消した。3回目となる今年の1位はイオン、2位はスターバックス、3位は味の素AGFだった(下の図)。「30~39歳」のトップ3を見ても、日立製作所、ライオン、スターバックスが入り、トヨタは入っていない。

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 「若い世代にとって車は買うものではなくシェアするものという認識が広がっている。車は買うのが普通だったシニア世代に比べ、トヨタブランドへの親近感が薄らいでいるのではないか」と橋爪シニアマネジャーは話す。

 「29歳以下」で1位を獲得したイオンは、特に女性からの評価が高い。全体の総合順位でも今年は4位と昨年より3つ順位を上げた。イオンの自由意見を見ると、「リサイクル」「植林」「太陽光発電」というキーワードが多く見られ、そうした取り組みが消費者に浸透していることがうかがえる。

 リサイクルの最近のトピックは、21年5月に開始した循環型プラットフォーム「Loop」への参画だ。国内の日用品や食品のメーカー各社と協力し、容器を回収、洗浄して再利用する取り組みだ。東京や神奈川など首都圏で導入を開始し、今年に入って京都や広島でも展開、9月末時点で75店舗まで広がっている。22年度中に100店舗導入を目指す。

 イオンは社会のイメージスコアでも昨年の13位から5位に躍進した。女性からの支持が特に高い背景として、今年からフェムテック(Fem-Tech)への取り組みを本格化したことが挙げられる。フェムテックとは、女性が抱える健康の課題をテクノロジーで解決する商品やサービスのことを指す。同社は3月、「イオンのフェムテック」と銘打ったサニタリーショーツの新製品をグループ370店舗で同時発売したほか、埼玉県越谷市の店舗内にフェムテック専門店を開設した。

 次回から、スターバックスやパナソニックなど、昨年から順位を上げた企業のESGへの取り組みを見ていく。

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