事業の成長を狙い、仮想発電所(VPP)事業に参画する企業が増えている。夏や冬の電力需給の逼迫も懸念され、VPPへの期待が高まる。

 インターネット接続サービスなどを手掛けるインターネットイニシアティブ(IIJ)は2022年7月28日、関西電力が展開する仮想発電所(VPP)事業に参画すると発表した。IIJなどが運用するデータセンターは、一般にエネルギーを大量に消費し、今後もデータ通信量の増加によって消費電力の増加が懸念される。そのデータセンターが「電力供給の安定化に貢献できるようになる点で、今回の変化は大きい」と、IIJ常務執行役員基盤エンジニアリング本部長電気通信設備統括管理者の山井美和氏は話す。

 関西電力は分散する蓄電池や小規模発電施設を仮想的な1つの発電所のように機能させるVPP事業を展開しており、統合的な制御を実施するアグリゲーターを務める。IIJは電力の需給バランスを取るために需要家側の電力使用量を制御する「デマンドレスポンス」に対応。電力の抑制要請に応じることでアグリゲーターから報酬を得る。現在、実効性テストを実施中で、24年度に本格サービスの開始を予定する。

真夏に1割ピークカットも

 VPP向けのエネルギー源となるのは、千葉県白井市で運用する「白井データセンターキャンパス」のBCP(事業継続計画)用蓄電池だ。同センターは総敷地面積4万平方メートルを誇る「ハイパースケールデータセンター」で、19年5月に1期棟の運用を開始した。

 24時間停止が許されないデータセンターに予備電源は付き物だが、「瞬断」や電圧低下にも大きな影響を受けるサーバーは専用の蓄電池を使う必要がある。今回、VPPに用いるのは空調設備用に設置した米テスラ製リチウムイオン蓄電池だ。

米テスラ製のリチウムイオン蓄電池「パワーパック」(出力436kW、容量696kWh)をサーバーの 冷却に使うファンやポンプといった空調設備の予備電源として活用。割安な夜間電力で充電し昼間に使うことで電力コスト削減にもなる(写真:インターネットイニシアティブ)
米テスラ製のリチウムイオン蓄電池「パワーパック」(出力436kW、容量696kWh)をサーバーの 冷却に使うファンやポンプといった空調設備の予備電源として活用。割安な夜間電力で充電し昼間に使うことで電力コスト削減にもなる(写真:インターネットイニシアティブ)