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第一生命が廃プラ削減債

 企業の取り組みが進む一方、廃プラの削減に取り組む企業に投資家の資金が流れ始めた。第一生命保険と第一フロンティア生命保険は7月、独日用品メーカー大手のヘンケルが発行する「廃プラスチック削減債」を全額(約74億円)購入したと発表した。利回りは年1%強だ。この債券で調達した資金は、再生材を用いたシャンプー・洗剤ボトルの開発や、詰め替え容器を使ったせっけん・シャンプーの量り売りといった活動に充てられる。

 第一生命ホールディングス運用企画部運用調査室の黒田洋一郎マネジャーは、「廃プラは気候変動の次に位置付けられる社会課題だ。だが、気候変動に比べて、廃プラ削減を支援するESG投資の手段が少ない。今回、企業が廃プラ削減で債券を発行でき、投資家も投資するという事実をつくれた。ここから次に続く企業や投資家が出てくれば、廃プラ削減債の市場ができてくる」と言う。

 廃プラ削減対策として、国内では7月にレジ袋の有料化が始まった。有料化で需要が高まっているのが、バイオマスプラスチック製レジ袋だ。バイオマスプラスチックを25%以上配合しているレジ袋は有料化の対象外になる。顧客の利便性を確保するため、無償で提供し続けたい外食などで採用が進んでいる。

三菱ケミカルが開発中の海洋生分解性のレジ袋と福助工業のバイオマスプラスチック製レジ袋(写真提供:三菱ケミカルホールディングス、福助工業)

 レジ袋国内大手、福助工業(愛媛県四国中央市)の大野輝幸取締役は、「バイオマスプラスチック25~30%のレジ袋を採用する企業が2倍以上に増えた」と話す。

 バイオマスプラスチック製レジ袋と並んで脚光を浴びているのが、海洋生分解性のレジ袋である。有料化の対象外になるだけでなく、海に流出しても自然に分解するため海洋汚染を防げる。福助工業は海洋生分解性のレジ袋の開発も進めており、来年3月にも第三者機関の認証を取得できる見通しだ。

 廃プラの削減に積極的な三菱ケミカルも海洋生分解性のレジ袋を開発中だ。小売店のニーズはあるが、石油由来のプラスチック製レジ袋と比べて6~7倍という価格がネックになる。同社は、高級スーパーやアパレル、アミューズメントパークなどに採用を働きかけるという。

 政府は有料化に合わせてキャンペーンを展開し、マイバッグの持参などを呼びかけている。年内にレジ袋の辞退率を現在の約3割から約6割に倍増させる考えだ。小泉進次郎・環境大臣は、「レジ袋を減らせばプラスチックの全ての問題が解決するわけではない。ただ、レジ袋を通じて幅広いプラスチックに対する問題意識を持つようになれば、より大きな問題解決につながる」と話す。

 レジ袋有料化を機に消費者の意識が高まれば、リサイクル素材や生分解性プラスチックの開発が加速し、廃プラ削減で日本が世界をリードできる可能性がある。

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