全1094文字
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、オンラインで事業について説明するユーグレナの出雲充社長(写真:ユーグレナ)

 「当社は、人と地球を健康にする会社だ。もし、判子を押しに行って新型コロナウイルスに感染した仲間(社員)がいたら、(健康食品を定期的に購入している)約21万人のお客様や約8万人の株主から見たとき、言っていることとやっていることが違うという話になる」

 ユーグレナの出雲充社長は、5月に開催した決算説明会の場でこう話した。同社はこの2週間後、法令で必要な場合を除いて、契約締結を電子契約に切り替えると発表した。従業員の健康・安全を最優先に新型コロナの感染を防ぐとともに、デジタルトランスフォーメーション(DX)を進めて生産性を高める。

 現在、取引先に協力を要請しており、既に全体の約3割が電子契約に応じている。1割程度だったコロナ以前と比べて着実に切り替えが進んでいる。官公庁や役所、大学には断られることが多いが、民間企業は応じるところが増えているという。

 「もうかる案件だから判子を押しに行ってくれと言うのではなく、電子契約に応じてくれる別の取引先を開拓する覚悟はある。当社は小さなスタートアップなので妥協なく100%を目指して進める」(出雲社長)

「判子不要」、政府が見解示す

 コロナ禍によって、従業員の健康・安全は、当事者である従業員はもちろん、投資家や顧客といったあらゆるステークホルダーの最大の関心事に浮上した。感染リスクを減らすため、多くの企業が在宅勤務に切り替えたが、押印のために客先を訪問しなければならない従業員がいることなどが問題視されていた。

 そうした中、新型コロナ対策の長期化や、働き方や生活様式が変わるコロナ後の「新常態」への対応を考え、電子契約を導入する企業が増えている。中でも、LINEやメルカリ、GMOインターネットグループといったIT(情報技術)関連企業やスタートアップは対応が早かった。

 政府も6月19日、「契約書に必ずしも判子は必要ない」との見解を示しており、電子契約を導入する動きはさらに加速しそうだ。

 冒頭の出雲社長の発言にあるように、健康食品を販売するユーグレナの場合、従業員への対応に注目が集まりやすい。同社は、免疫力を高める効果をうたって商品の販促を強化している。その上、「(新型コロナの影響による)免疫訴求商品への需要拡大が追い風となる」(永田暁彦副社長)とみる。言行一致という意味でも、従業員の感染は何としても避けたいところだ。

 新型コロナのパンデミック(世界的大流行)の収束はいまだ見通せず、感染の第2波を警戒する声も多い。テレワークや電子契約の導入など、業務を続けられる環境の整備が急がれる。

日経ESG 日経ESG経営フォーラムはこちらから