全1913文字

 マネックス証券は、6月25日から公募投資信託「マネックス・アクティビスト・ファンド」の運用を開始した。個人投資家の声を集め、企業との対話(エンゲージメント)によって投資リターンの拡大を図るユニークな取り組みを実践する。マネックスグループの松本大社長は、6月10日に開催した動画配信のセミナーで、「個人投資家の声を経営者に届け、日本企業を変えていく。これはアクティビズム2.0だ」と意気込みを語った。

個人投資家の声を集め、「株式数」ではなく「株主数」を武器に企業に変革を迫るマネックスグループの松本大社長(写真:ロイター/アフロ)

 個人投資家(個人株主)の数は増加傾向にある。特に直近の5年間の延べ人数は約900万人増え、急拡大している。2014年に始まった少額投資非課税制度(NISA)の利用者が拡大しており、最近ではスマートフォンを使った株式投資も進み、幅広い年代の個人投資家が増えている。

 個人投資家は機関投資家と違い、企業の経営陣に意見を伝える機会が限られる。唯一の手段と言えるのが株主総会の株主質問だが、それをもって経営者を動かすのは難しい。

 「マネックス・アクティビスト・ファンド」はそこに目を付けた。個人投資家の声を束ね、マネックス証券が代表してその声を企業にぶつける。「株式数」ではなく「株主数」を武器にして企業に変革を迫るという点では、従来にない新しい取り組みだ。アクティビスト活動が個人投資家に広がる可能性を秘めている。

 銘柄選定に当たっては、厳選した10~20の企業を予定しており、その際、ESGの視点も重視するという。銘柄選定やエンゲージメントなどの戦略立案は、マネックスグループ傘下のカタリスト投資顧問が担う。リターン向上につながるエンゲージメントをどのように実践するのか。同社の平野太郎社長と小野塚惠美副社長に聞いた。

「マグマ」がたまっている

平野 太郎氏
カタリスト投資顧問社長
チーフ・ポートフォリオ・マネージャー
(写真:中島正之)

「マネックス・アクティビスト・ファンド」は、どのような銘柄が投資対象になるのか。

平野:変革を進めようとしている日本企業だ。コーポレートガバナンス改革によって日本市場は新たな段階に入ったが、その変化のスピードはまだ十分とは言えない。コロナショックによって、より経営者に変革が求められるようになった。経営者へのエンゲージメントでそれを後押しし、日本市場を活性化させる。

 初めは、厳選した10~20社に投資する予定だ。「ボトムアップリサーチ」と呼ばれる詳細な企業分析を行い、株価が安価に放置された企業を選定し、エンゲージメントを実施する。ただ、これだけだと市場平均とのかい離が出てくる可能性があるので、市場の需給やイベント発生などのタイミングを見て銘柄や保有割合を変える「マーケットインサイト」という手法も併用する。

 ファンドの規模は、数百億円からのスタートになるだろう。これを1兆円まで広げていきたい。2~3年の時間軸で見たとき、市場平均より10~15%程度高いリターンを得ることを目標としている。