年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のESG投資に採用されているFTSEのインデックスが6月に基準を大幅に変える。気候変動の基準を見直すことで、約1割の日本企業に除外の危険性が出てきた。FTSEラッセルのサステナブル投資部門 アジア太平洋地域責任者であるヘレナ・ファング氏に聞いた。 (聞き手:藤田 香/日経ESG)

FTSEラッセルは、GPIFが2017年からESG投資に活用している「FTSE Blossom Japan Index」に、小型株を初めて追加することを昨年12月に発表しました。小型株を入れるのはなぜですか。

ヘレナ・ファング 氏(以下、敬称略):FTSE Blossom Japan Indexは毎年6月と12月に銘柄を組み替えています。昨年3月末時点の全銘柄は181銘柄。連動するGPIFのパッシブ運用資産総額は9314億円でした。ここに小型株を組み入れることで、市場全体のESGの底上げを図りたいと考えました。そこで昨年12月、12銘柄の小型株を追加しました。

GPIFが採用している日本株式のESGインデックス<br />ESG総合型とE(気候変動)とS(女性活躍)のインデックスがある。<br />銘柄数や運用資産額は2020年3月末時点
GPIFが採用している日本株式のESGインデックス
ESG総合型とE(気候変動)とS(女性活躍)のインデックスがある。
銘柄数や運用資産額は2020年3月末時点
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小型株組み入れで中小企業牽引

<span class="fontBold">ヘレナ・ファング氏</span><br />2008年からESGと持続可能な投資のエキスパートとして活躍。アジアのファミリー・オフィスでESG統合、株式分析などを担当した後、FTSEラッセルに入社。英ロンドンで、ハーミーズ・インベストメント・マネジメントの責任投資部門で顧客対応のグローバルヘッドとして、年金基金や資産運用会社が持続可能性の基準をポートフォリオに統合することを可能にした。14年に香港に移り、現職(写真提供:FTSEラッセル)
ヘレナ・ファング氏
2008年からESGと持続可能な投資のエキスパートとして活躍。アジアのファミリー・オフィスでESG統合、株式分析などを担当した後、FTSEラッセルに入社。英ロンドンで、ハーミーズ・インベストメント・マネジメントの責任投資部門で顧客対応のグローバルヘッドとして、年金基金や資産運用会社が持続可能性の基準をポートフォリオに統合することを可能にした。14年に香港に移り、現職(写真提供:FTSEラッセル)

 現時点で小型株の企業で指数会社のESGの要件・基準を満たすところはそれほどありません。しかし、長期的なESGの動向を考えた際、大企業だけでなく中小企業にも持続可能性や市場の要求を理解してもらいたい。それにより投資家と中小企業のエンゲージメントを促したいと考えています。中小企業がESGを身近に感じ、要件を満たす企業が増えるという期待感を持っています。

 もう1つの理由は、他のアジアの企業も巻き込みたいと考えるからです。日本の投資家はアジア太平洋地域のサステナブル投資の先頭に立っています。ESGインデックスに小型株を追加することで、企業の大小にかかわらずESGに優れた企業への投資を喚起するとみています。
 ESGを認識することで企業のパフォーマンスが向上すれば、受益者に恩恵を与えることにもつながります。小型株の組み入れについて投資家から要求があったのも事実です。

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