ファーストリテイリングが衣料品のリペアやリメイクに本格的に取り組む。商品の長寿命化でサーキュラーエコノミーの実現を目指す。

 「ビジネスモデル全体でサーキュラーエコノミー(循環型経済)を実現していきたい」。ファーストリテイリングが2022年11月に開催したサステナビリティの説明会で、取締役グループ上席執行役員の柳井康治氏はこう力を込めた。

リサイクル素材を使った商品を紹介するファーストリテイリング取締役グループ上席執行役員の柳井康治氏 (写真:ファーストリテイリング)
リサイクル素材を使った商品を紹介するファーストリテイリング取締役グループ上席執行役員の柳井康治氏 (写真:ファーストリテイリング)
英ロンドンのリージェントストリート店に設けた「リ・ユニクロスタジオ」(写真:ファーストリテイリング)
英ロンドンのリージェントストリート店に設けた「リ・ユニクロスタジオ」(写真:ファーストリテイリング)

30年にリサイクル材50%

 衣料品店「ユニクロ」を傘下に持つ同社は、サステナビリティの取り組みの一環として、リサイクル素材を使った商品を拡充している。リサイクル素材を含む温室効果ガス排出量の少ない素材の利用割合は、22年で全素材の約5%。30年度までに50%に引き上げるのが目標だ。

 新たに、穴や破損のリペア(補修)やリメイク(お直し)を開始した。9月に英国の店舗に専用コーナー「リ・ユニクロスタジオ」を導入し、10月には日本の世田谷千歳台店(東京・世田谷)でも期間限定でサービスを開始した。「顧客にとても好評だ。グローバルに展開していきたい」(柳井氏)と意気込む。将来は、顧客が着なくなった服を引き取って販売することも視野に入れる。

 大和証券エクイティ調査部シニアアナリストの川原潤氏は、「ユニクロは品質の高さや流行に左右されにくいデザインによって欧州でシェアを高め、22年8月期は欧州事業の売上高が過去最高の約1300億円となった。長く着られるという強みをさらに生かせる」と言う。

 リ・ユニクロスタジオを増やすことによって商品開発力の強化につながる可能性もある。「リメイクなどに関する顧客の要望が入ってくるようになるので、より長く着てもらうためにはどうすればいいか、顧客が求める商品を開発しやすくなる」(川原氏)。