「豊かな持続的社会への道を歩む。むしろそれ以外の道、退路を断つ」。2020年12月9日に開催されたグループ中期経営計画「K25」(21~25年度)の説明会で、澤田道隆・前社長からバトンを受け継いだ長谷部佳宏社長(当時は専務執行役員)は力を込めた。

新中期経営計画「K25」について説明する長谷部佳宏社長(当時は専務執行役員、写真:花王)

 K25の根幹となるビジョンについて説明した後、刷新した理念「ESGドリブン花王ウェイ」について語った。「社会が変われば理念も進化する。来年(21年)から、これ(ESGドリブン花王ウェイ)を基に強く進んでいきたい」。

他社との協働を促進

 花王は、18年7月に社長直轄のESG部門を立ち上げた。翌19年4月にESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」を発表し、経営のかじをESGに大きく振った。20年度こそコロナ禍の影響を受けて減収減益の見込みだが、19年度まで連結で7期連続営業最高益を記録している。

 ESGの取り組みに対する社外の評価も高い。例えば、コーポレートガバナンスなどが優れた企業を評価する「World's Most Ethical Companies(世界で最も倫理的な企業)」に日本企業で唯一、14年連続で選定されている。20年12月には、企業の環境への取り組みを評価するCDPで、日本企業初の「トリプルA」(気候変動、水、森林の3分野で最高評価)を獲得した。

 そうした日本を代表するESG先進企業の花王が、今回、ESGをさらに推し進めると宣言した格好だ。

 K25の目的の1つとして掲げたのが「社員活力の最大化」である。「ワクワクした社員がいればこそ会社もどんどん成長する」(長谷部社長)。この目的を達成するために、「OKR(Objectives and Key Results、目標と主要な結果)」と呼ぶ人材活性化制度を導入した。

 事業への貢献の他に、ESGや部門間連携、人材・組織の活性化などにまつわる目標を設定し、達成を目指す。ESGの目標が全体の3割程度になるように設定する。これにより、トップから現場の社員まで全社一丸となってESGに取り組めるようにする。評価にどう反映するかは現在検討中だが、「貢献に応じたフェアな報酬につなげる」(長谷部社長)。

 例えば、20年9月に発表したライオンとの協働による詰め替え商品のプラスチックフィルム容器の回収・リサイクルは、ESGに貢献する取り組みの好例だという。「時には社外と協働することによって成し遂げ、その結果、社会に大きく貢献できる取り組みを評価する」。

 新体制になった花王がESGで企業価値をさらに高められるか。人材の活性化が大きな鍵を握っている。

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