共同研究の規模は数百万円から億円単位以上に

 東大の渡部俊也・産学協創推進本部長は、「本学には2009年の技術研究組合法の改正に関わった者がおり、法解釈も正確にできていたことから、同制度を活用できると想定していた」と話す。東大は、ガイドラインの改訂に向けて国と歩調を合わせながら、戦略的にソフトバンクとの協定もまとめていったのだ。

 そもそも、教育機関である大学は基本的に企業と共同出資会社を設立することは認められていない。ソフトバンクの國枝良・AI戦略室企画室室長は「長期にわたってサイクルをつくるにはウインウインの関係が必要。どうすればこの問題を解決できるのか。頭を抱えていたところを東大がCIP制度のアイデアを出し、関係省庁との調整も迅速にしてくれた」と東大に対する信頼は増している。「一緒にできることが決まってよかった。東大となら、具体化に向け実績を出せる」と國枝氏は自信をみせる。

 近年、東大が進めている産学共同研究は「組織対組織」で組む形が特徴だ。かつては、企業の1事業部が大学の1研究室つまりは1人の教授と共同研究するケースが一般的だった産学共同研究。新しい共同研究では、スケールが格段に大きくなった。金額は従来の数百万円から億円単位以上に、期間は1~2年から長ければ10年に、関わる教員数も何倍、何十倍と拡大している。

 それは総長の強力なリーダーシップによるものだ。ソフトバンクとの連携では、以前から付き合いがあったソフトバンクグループの孫正義会長兼社長と東大の五神真総長が、日本が遅れているAI開発を急速に進める必要性があるとの課題認識で考えが一致、協定締結に至った。

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