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「日本の大学教育はどうなっているんだ」。日本電産創業者の永守重信会長CEOは、2018年から私財を投じ、京都学園大学(現・京都先端科学大学)を舞台に日本の大学教育をつくり直そうとしている。20年4月には同大学に工学部を新設。英語と実践的専門教育の徹底で、世界水準の大学づくりに動き出した。一代で会社を世界一のモーターメーカーに育て上げた経営者の目に、今の大学の力はどう見えているのか。どんな大学を目指すのか。大学改革で日本経済再生にもつなげたいとの思いを語った。

「日本は大学改革が必要だ」と訴えてこられました。さらに私費100億円余りを投じて京都先端科学大学(旧・京都学園大学)のつくり直しにも取り組んでいます。大学のどこに問題があるのですか。

永守重信・日本電産会長CEO(以下、永守氏):2015年ごろからですかね。「日本の大学教育はどうなってるんだ」と思い始めたんです。なぜかというと、そこには当社の歴史が関係しているのです。

 日本電産は私が1973年7月に数人の仲間と一緒に創業しました。当初は、一流大学卒なんか採れない。名前も知らないような大学から採用して、それも成績はガタガタなわけです。それを鍛えまくって幹部を育成してきたのです。それが2000年ごろからいい大学からも入ってき始めたんですよ。東京大学とか京都大学とか、大阪大学といったところですよ。

永守重信(ながもり・しげのぶ)氏
1944年生まれ。67年職業訓練大学校(現・職業能力開発総合大学校)電気科卒。ティアックなどを経て73年に日本電産を創業、社長に就任。経営不振企業のM&A(合併・買収)などを通じて世界一のモーターメーカーに育てた。2014年から会長兼務。18年6月から会長CEOに。私財100億円余りを投じて京都学園大学(現・京都先端科学大学)の改革に乗り出し、同大学を運営する京都学園(現・永守学園)理事長に就任した。(写真:太田未来子)

 それから10年くらいたって人事のデータがそろってきたところで見ると、卒業した大学と仕事ができるかどうかには何の関係もないことが分かったんです。何百人か同期で入って、最初に課長になったのは誰かとか業績とかは、一流大学出身かどうかとは関係がなかった。研究所でも、最近でいうと電気自動車(EV)のモーターなんかで、いいアイデアを出して開発するのは、一流大学出身者ではなかったりするんです。そのことだけではなくて、開成高校→東大といったいわゆるトップクラスの学校をずっと通ってきた層を見てもやっぱり、学歴と業績、昇進は関係がなかったのです。