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インダストリー羅針盤

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出光興産が山口で精製停止 細る需要、石油元売りは共闘の時代に
出光興産は2024年3月をめどに、子会社が山口県で運営する製油所の精製機能を停止すると発表した。石油製品需要が想定以上の勢いで減少。脱炭素の流れで回復は見込めないため、生産能力を削減する。石油元売り各社が縮小均衡へと動く…
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苦労人新社長が描く帝人の未来 自動車「ティア1」はゴールにあらず
4月、8年ぶりにトップが交代した帝人。新たに社長兼CEO(最高経営責任者)に就いた内川哲茂氏は、入社から数年で当時としては異例の顧客企業への出向を経験したのを皮切りに、買収した海外企業との事業統合や国内工場閉鎖など数多く…
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35日間無人操業に成功 横河電機、AIで切り開く製造業の未来
制御・計測システム大手の横河電機が、AI(人工知能)による製造業の「自律化」へ歩を進めている。化学プラントの完全自動操業や、模擬プラントの遠隔制御に成功した。システムの納入先である顧客企業で大幅な省人化や製品の均質化、経…
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トヨタは大規模減産免れる 愛知の漏水問題から考えるBCP
5月中旬、愛知県豊田市にあるトヨタ自動車の工場が一時生産停止に追い込まれた。理由は車載用の半導体不足でもなければ、新型コロナウイルスに伴う中国・上海の都市封鎖(ロックダウン)に起因するサプライチェーンの寸断でもない。イン…
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中国勢に戦略案件さらわれる 住友鉱山、「非鉄メジャー」遠のく
非鉄分野でメジャーの仲間入りを目指す住友金属鉱山のインドネシアでの戦略プロジェクトがお蔵入りとなった。ブラジル系企業と合弁で年産能力4万トンのニッケル製錬所を設けることを検討してきたが、交渉をまとめられなかった。プロジェ…
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現場発・世界最大級の臨床検査施設が稼働 ロボット活用でほぼ無人
「検査を止めるな」。血液検査など受託臨床検査最大手のH.U.グループホールディングス(HD)が、約850億円を投じた新たな検査センターを稼働させた。広さは実に東京ドーム2.7個分。自動化を徹底しており、時間にして検査の9…
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三井・三菱が一歩リード? 財閥系化学、原材料高の価格転嫁なるか
国内の財閥系化学大手3社は、2023年3月期(今期)が最終減益になるとの見通しをそろって明らかにした。原油をはじめとする原材料価格の上昇を受け、好調だった前期から一転、難しい1年になる。製品価格への転嫁によってコスト増の…
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製造業、高揚感なきV字回復 20年ぶり円安水準も先行きに不安
円相場が対ドルで20年ぶりの円安水準となっても、輸出主体の製造業は先行きへの警戒感を緩めない。世界景気の腰折れ懸念に加え、輸入物価の上昇で日本経済が打撃を被る「悪い円安」への不安が募る。受益者とみられてきた製造業で「円安…
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日本製鉄、過去最高益も慢心なし 今期もトヨタと激しい価格交渉に
日本製鉄がV字回復を果たした。2022年3月期連結決算は純利益(国際会計基準)が12年の旧・新日本製鉄と旧・住友金属工業の経営統合後で最高を記録した。同社が業績改善への「一丁目一番地」としていた値上げの浸透が目に見えて表…
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ブラザー、イミ消費に託すミシン復活 コロナ特需後へ若者と接点
1908年にミシンの修理業として産声を上げたブラザーグループ。ミシンの国内市場は長く縮小傾向が続いたが、新型コロナウイルス禍の巣ごもりやマスク需要などを背景に出荷台数が急増した。盛り上がりを一過性にしたくない――。そんな…
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三菱重工、新型原子炉で水素量産 鉄鋼メーカーの脱炭素後押し
三菱重工業が次世代原子炉を使った水素の量産に乗り出す。原子炉で発電しながら、同時に原子炉から出る熱を活用して水素を製造する。2030年代前半の実用化を目指す。鉄鋼メーカーに水素を供給し、二酸化炭素(CO2)を排出しない「…
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住友化学、原油高で一息つく「お荷物」 誤算のサウジ2兆円プラント
総事業費約2兆円の石油化学プラント「ペトロ・ラービグ」。資本参加する住友化学にとって「お荷物」といわれ続けてきたが、ここにきて業況が好転。その遠因となったのはロシアによるウクライナ侵攻だ。
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「アグレッシブさ失っている」 三菱ケミカルHD社長、2年目の焦燥
4月に新組織体制へと移行した三菱ケミカルHD。傘下の事業会社が担ってきた意思決定機能をHDに集約し、グループ一体での事業運営を図る。そうした変革の裏側にあったのは社員の「自信喪失」への危機感だ。
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大日本印刷、スマホで鍵開閉「デジタルキー」 車のソフト化に商機
印刷大手の大日本印刷(DNP)は情報管理で培ってきた「安全性」を強みとして事業領域を広げてきた。足元で注力するのが、ソフトウエア化が進む自動車の分野だ。
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地震大国を襲った「首都圏停電」危機 原発再稼働は必要か?
地震大国、日本が電力危機に襲われた。3月22〜23日に東京電力ホールディングス(HD)と東北電力管内で起きた停電リスクで露呈したのは、節電要請だけでは「焼け石に水」であり、供給面でも他社からの電力融通と再生可能エネルギー…
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ウクライナ危機でさまよう衛星会社 日本はロシアの代役果たせるか
ウクライナ危機が宇宙ビジネスにも波紋を広げている。「ソユーズ」などロシアのロケットや同国管轄内のカザフスタンの宇宙基地は各国の人工衛星打ち上げに使われてきたが、予定通り打ち上げができないリスクが高まっている。すでに打ち上…
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ウクライナ侵攻が半導体生産に影 ルネサス、パラジウム不足に備え
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が、世界の半導体生産のサプライチェーン(調達・供給網)を揺さぶっている。半導体生産に必要なレアガス(希ガス)やレアメタル(希少金属)など原材料の一部にロシアやウクライナへの依存度が高いも…
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ウクライナ危機が欧州の原発回帰誘う
ロシアのウクライナ侵攻によって欧州で原子力発電への回帰が色濃くなる可能性が出てきた。欧州は天然ガスの4割をロシアに依存し、特にガスパイプラインでつながるドイツでは影響が大きい。独はフランスからの電力を輸入しているが、その…
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旭化成の工藤新社長、脱炭素へ「アニマルスピリッツの覚醒を」
旭化成は2022年5月に創業100周年を迎える。節目の年に小堀秀毅社長が経営トップのバトンを託したのは工藤幸四郎取締役兼常務執行役員。4月1日付で社長に就く。日経ビジネスの取材に応じた工藤氏の発言から、旭化成が描く将来像…
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ENEOSが和歌山の製油所閉鎖へ 判断の陰にガソリン補助金?
80年あまり稼働してきたENEOSホールディングスの和歌山製油所(和歌山県有田市)。稼働停止決定の一因としてささやかれるのが、政府による「ガソリン補助金」だ。他の石油元売りの拠点縮小を促す引き金となるのか。