石油化学・炭素事業の切り離しをはじめとする新戦略を発表した国内化学最大手の三菱ケミカルホールディングス(HD)。幅広い製品を扱う総合化学から、高機能材を中心としたスペシャリティーケミカルへの大転換を目指す。三菱ケミカルHDと中核事業会社、三菱ケミカルそれぞれのトップに今後の展望や課題を聞いた。(上)はHDのジョンマーク・ギルソン社長。

三菱ケミカルホールディングス社長 1963年生まれ。ベルギー出身。89年米ダウコーニング入社。化学会社や投資ファンドなどを経て、2014年に食品や医療関連素材を扱う仏ロケットCEO。21年4月から現職。学生時代までプロを目指してサッカーに熱中した。「最高のチーム」と評するのは故郷ベルギー代表。英プレミアリーグのアーセナルも好きなチームの一つ。(写真:北山 宏一)
12月1日に新しい戦略を発表しました。社内ではどのような反応がありましたか。
ジョンマーク・ギルソン三菱ケミカルHD社長(以下、ギルソン氏):この戦略的な変更についてはかなり長い時間、かなり多くのメンバーで話をしてきました。私だけのアイデアというわけではなく、多くの人と話し合い、将来の業界見通しを盛り込んだ結果です。
これは大きな変化です。私たちが企業としてつくってきた歴史から方向転換をすることになりますから。ただ、従業員の95%はまだその変化に気づいていませんでした。
そこで、私の時間の50%を使い、Zoomミーティングで従業員と直接対話する機会を設けています。会社の戦略について45分間話をして、そのあと質疑応答を行い、1セッションあたり500人くらいに参加してもらっています。これは日本の企業では珍しい動きだと思います。
私は新参者でネットワークがないので、こうして直接従業員と話をして、従業員が私に直接、懸念事項や声を届ける機会をつくっています。双方向のコミュニケーションを取っていくことがとても重要だと思っています。
文字通り、何百もの質問を受けています。本当に素晴らしい、的を射た賢明な質問もあります。従業員の方々が企業の将来に強く関わりたい、強い関心があるということを示してくれています。彼らが従業員としてどう貢献できるかをきちんと理解したいという表れだと思います。何カ月もかかるプロセスではあるでしょうが、自信を持って、明るい見通しを持って一緒にやっていけると考えています。

計画遂行に確信
1日の発表直後、株価は2%高にとどまりました。投資家など、社外の反応についてはどう受け止めていますか。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り3119文字 / 全文4009文字
-
「おすすめ」月額プランは初月無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
日経ビジネス電子版有料会員なら
人気コラム、特集…すべての記事が読み放題
ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題
バックナンバー11年分が読み放題
この記事はシリーズ「インダストリー羅針盤」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?